脳卒中急性期を過ぎての嚥下性肺炎
「目的」脳卒中に伴う嚥下障害は, その急性期においては, 30~40%に認められるも, 長期的には, 10%以下に落ちつくといわれている. それらは, 基本的には, 両側皮質延髄路の障害によると考えられており, 特に, 脳幹病変例では, 重篤なことが多く, 脳卒中発症後, 経管栄養, 胃瘻等に依存せざるをえない場合も多い. 今回は, 脳卒中初回発作後, 経口摂食が可能であったにもかかわらず, 嚥下性肺炎を併発した例をとりあげ, その病変部位, 神経所見等の特徴を明らかにし, その慢性期における注意を促したい. 「対象」1992年4月~1997年3月の5年間に, 当院リハ病棟に入院した患者のうち...
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          | Published in | リハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 966 | 
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| Main Authors | , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本リハビリテーション医学会
    
        1997
     社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine  | 
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| ISSN | 0034-351X | 
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| Summary: | 「目的」脳卒中に伴う嚥下障害は, その急性期においては, 30~40%に認められるも, 長期的には, 10%以下に落ちつくといわれている. それらは, 基本的には, 両側皮質延髄路の障害によると考えられており, 特に, 脳幹病変例では, 重篤なことが多く, 脳卒中発症後, 経管栄養, 胃瘻等に依存せざるをえない場合も多い. 今回は, 脳卒中初回発作後, 経口摂食が可能であったにもかかわらず, 嚥下性肺炎を併発した例をとりあげ, その病変部位, 神経所見等の特徴を明らかにし, その慢性期における注意を促したい. 「対象」1992年4月~1997年3月の5年間に, 当院リハ病棟に入院した患者のうち, 脳卒中初回発作後, 経口摂食が可能であったにもかかわらず, その後, 嚥下性肺炎を認めた18例. 平均年齢74.4歳. 男14例, 女14例. 脳梗塞14例, 脳出血4例. 「結果」脳卒中初回発作後, 3~10か月で嚥下性肺炎を併発しており, 以下の特徴を有していた. 1. 初回発作にもかかわらず, 脳CT所見は, 多発病変例が多く, 9例, 50%に認められ, また, PSVEが疑われる例も2例あった. 2. 神経学的には, 必ずしも仮性球麻痺, 球麻痺症状を伴っておらず, むしろ, 痴呆, 意欲低下を認める例が目立った. 痴呆は全例で認められた. 3. 痙攣発作後, あるいは, 抗痙攣剤, 眠剤による副作用等, 一時的な脳機能抑制が誘因と考えられた例も認められた. | 
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| ISSN: | 0034-351X |