弓部大動脈置換術における体外循環復温時でのFFP投与の有用性

「要旨」弓部大動脈置換術における止血困難のリスクを回避することを目的とし, 体外循環復温時に人工心肺からFFPを投与することによる止血効果の評価を行った. その結果, 術中出血量は有意に減少し, 術中水分出納バランスも大幅に減少した. 凝固線溶系データはD-dimerで有意差はあったが, PT, APTT, AT III, Fibrinogen, FDP, TATでは有意差はなかった. 輸血量はHLA-LRで有意に減少した. 体外循環時間および止血時間は有意に短縮した. 帰室時のP/F ratioは有意に増加した. 検討結果では, 体外循環復温時での凝固因子の補充によって, 良好な止血効果を得...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in体外循環技術 Vol. 39; no. 2; pp. 149 - 152
Main Authors 岡本大輔, 岡本哲治, 勢村満男, 佐藤直幸, 難波秀樹, 箱崎大樹, 安原敏正, 小宮達彦, 坂口元一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-2664

Cover

More Information
Summary:「要旨」弓部大動脈置換術における止血困難のリスクを回避することを目的とし, 体外循環復温時に人工心肺からFFPを投与することによる止血効果の評価を行った. その結果, 術中出血量は有意に減少し, 術中水分出納バランスも大幅に減少した. 凝固線溶系データはD-dimerで有意差はあったが, PT, APTT, AT III, Fibrinogen, FDP, TATでは有意差はなかった. 輸血量はHLA-LRで有意に減少した. 体外循環時間および止血時間は有意に短縮した. 帰室時のP/F ratioは有意に増加した. 検討結果では, 体外循環復温時での凝固因子の補充によって, 良好な止血効果を得ることができた. 更に術中水分バランスが抑えられたことで, 術後の肺鬱血軽減および挿管時間の短縮に有効であった. また人工肺に著明な血液凝集および凝固は認められなかった. 以上のことから, 弓部大動脈置換術における体外循環復温時からのFFP投与は出血を減少させる因子として有用であると考えられる.
ISSN:0912-2664