上行大動脈送血困難症例に対する右腋窩動脈送血の臨床的有用性の検討

「要旨」体外循環施行時, 上行大動脈送血が困難な症例における右腋窩動脈(AX)送血の有用性を検討した. 対象は2005年4月から2009年4月までにAXに吻合した人工血管より送血を施行した21例(上行大動脈高度石灰化13例, 再手術8例)である. 血圧は左右の橈骨動脈(RA)圧, 脳灌流はINVOSを指標とした. 体外循環時間は201±68分, 大動脈遮断時間は122±49分であった. open distal+脳分離体外循環に4例が移行した. 再手術症例で3例が体外循環補助下に剥離を施行した. 体外循環中の右RA圧は40~100mmHg, 左RA圧は30~80mmHgであった. 体外循環前に対...

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Published in体外循環技術 Vol. 37; no. 4; pp. 392 - 394
Main Authors 堀辰之, 小木幸人, 内藤勇太, 小山和彦, 山本憲子, 川崎広樹, 橋本祐介, 佐藤昌臣, 金田幸三, 西脇登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2010
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」体外循環施行時, 上行大動脈送血が困難な症例における右腋窩動脈(AX)送血の有用性を検討した. 対象は2005年4月から2009年4月までにAXに吻合した人工血管より送血を施行した21例(上行大動脈高度石灰化13例, 再手術8例)である. 血圧は左右の橈骨動脈(RA)圧, 脳灌流はINVOSを指標とした. 体外循環時間は201±68分, 大動脈遮断時間は122±49分であった. open distal+脳分離体外循環に4例が移行した. 再手術症例で3例が体外循環補助下に剥離を施行した. 体外循環中の右RA圧は40~100mmHg, 左RA圧は30~80mmHgであった. 体外循環前に対するINVOSの変化率は左87±18%, 右93±15%であった. また, 術後脳合併症は認めなかった. 上行大動脈送血によるdebrisの飛散は塞栓症の要因とされ, また再手術の際広く普及している大腿動脈送血も逆行性送血であり塞栓症や異常位置に留置する危険性はある. 今回我々の施行したAX送血はその危険性は完全に回避できないものの低いと考えられ, また, 脳分離体外循環への移行も容易であり有用な方法である可能性が示唆された.
ISSN:0912-2664