臨床 心電図,ベクトル心電図による下壁硬塞診断と冠動脈造影所見の対比 右冠動脈閉塞9例に於ける検討

冠動脈造影で,右冠動脈に90%以上の閉塞が認められた9例の心電図,ベクトル心電図を,冠動脈及び左室の造影所見と対比して検討した.これら9例の内,6例については,急性期の臨床経過や左室造影所見から,確実に下壁硬塞の診断を下し得たが,残りの3例では,それを確定し得なかった.前者の6例の内,心電図による下壁硬塞診断基準を満足したものは4例のみであったが,ベクトル心電図では全例がMcConahayらによる下壁硬塞の確定診断基準を満たしていた.後者の3例では,心電図で下壁硬塞と診断し得た例は1例も無かったが,ベクトル心電図では,この内2例が確定または疑診断の基準を満たしていた.以上の結果から,McCon...

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Published in心臓 Vol. 8; no. 5; pp. 479 - 484
Main Authors 菅田, 芳文, 野村, 英雄, 岡本, 晃愷, 榊原, 利典, 永田, 昌久, 児玉, 逸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 01.05.1976
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.8.5_479

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Summary:冠動脈造影で,右冠動脈に90%以上の閉塞が認められた9例の心電図,ベクトル心電図を,冠動脈及び左室の造影所見と対比して検討した.これら9例の内,6例については,急性期の臨床経過や左室造影所見から,確実に下壁硬塞の診断を下し得たが,残りの3例では,それを確定し得なかった.前者の6例の内,心電図による下壁硬塞診断基準を満足したものは4例のみであったが,ベクトル心電図では全例がMcConahayらによる下壁硬塞の確定診断基準を満たしていた.後者の3例では,心電図で下壁硬塞と診断し得た例は1例も無かったが,ベクトル心電図では,この内2例が確定または疑診断の基準を満たしていた.以上の結果から,McConahayらのベクトル心電図による下壁硬塞診断基準は,従来の心電図診断基準よりも優れている事が示唆された.なお,右冠動脈への側副血行路の有無が,心電図,ベクトル心電図による下壁硬塞診断に及ぼす影響についても検討を加えた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.8.5_479