秋田県における急性期脳梗塞に対するアルテプラーゼ静注療法の現状と治療成績 秋田県農村医学会共同研究班研究から

【背景・目的】秋田県は以前から全国有数の脳卒中県として知られ、平成20年の最新統計によれば秋田県の脳卒中死亡率は161.1 で全国第1位となっている。急性期脳梗塞に対する有効的治療法としてアルテプラーゼ( rt-PA )が平成17年10月に国内で初めて保険承認されたのを機会に、全県的な視野からrt-PA 静注療法の実態・現状を把握し、治療成績を検討するとともに、現状での問題点について考察する。【対象・方法】平成17年10月から平成23年3月までの間に秋田県厚生連9病院で、rt-PA 静注療法を行った発症3時間以内の急性期脳梗塞患者を後ろ向きに連続登録し、集計された146例を対象とした。性別は男...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 218
Main Authors 菊地, 顕次, 小島, 壽志, 桑原, 直行, 大塚, 聡郎, 村石, 健治, 伏見, 進, 須田, 良孝, 安田, 恒男, 佐々木, 順孝, 太田原, 康成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.218.0

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Summary:【背景・目的】秋田県は以前から全国有数の脳卒中県として知られ、平成20年の最新統計によれば秋田県の脳卒中死亡率は161.1 で全国第1位となっている。急性期脳梗塞に対する有効的治療法としてアルテプラーゼ( rt-PA )が平成17年10月に国内で初めて保険承認されたのを機会に、全県的な視野からrt-PA 静注療法の実態・現状を把握し、治療成績を検討するとともに、現状での問題点について考察する。【対象・方法】平成17年10月から平成23年3月までの間に秋田県厚生連9病院で、rt-PA 静注療法を行った発症3時間以内の急性期脳梗塞患者を後ろ向きに連続登録し、集計された146例を対象とした。性別は男性92例、女性54例で、平均年齢は72歳だった。【結果】脳梗塞の臨床病型は心原性脳塞栓症100例、アテローム血栓性脳梗塞26例、ラクナ梗塞5例で、その他が15例だった。発症から投与までの平均時間は126分で、そのうち病院前搬送時間は54分だった。治療前の神経学的重症度はNIHSS で平均15.6 点で、意識レベルはJCS1桁が100例と最も多かった。治療成績に関連して、NIHSS が治療前後で10点以上改善、もしくは総点で0または1点まで改善した場合を「著効」、著効まで至らない改善例を「効果」と定義すると、「著効」+「効果」群は24時間後で60.6%、1か月後で76.9%、3か月後では77.2%だった。一方3か月後のADLは、治療前NIHSSが15点未満の場合mRS0~1は51%、15点以上25点未満が13%で、25点以上の重症例ではわずかに7%にすぎず、治療3か月後の予後と治療前のNIHSSとがよく相関していた。【考察・結論】rt-PA静注療法は適正治療指針を遵守するかぎり、本研究においても安全で良好な治療成績が示された。今後の治療成績向上のために早期受診の啓蒙や病院前搬送・院内診療体制のさらなる整備が必要であると考えられた。
Bibliography:2D-10
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.218.0