カオリン誘発writhing反応の一酸化窒素による増強

我々は, 培養一次知覚神経節細胞を用いてブラジキン(BK)による細胞内カルシウムの上昇に対して一酸化窒素(NO)がcyclic GMPの産生を介して促進作用を有することを報告した. 本実験ではBKの産生を介して生じるカオリン誘発writhing反応に対するNOの影響を調べ, 一次知覚神経における痛みの受容に対するNOの作用について検討した. 【方法】ddy系雄性マウスに各薬物を投与後, カオリン(250mg/kg)を腹腔内投与し, 直後から30分間におこるwrithing回数を測定した. また, マウスにリポポリサッカリド(LPS)を腹腔内投与し, 3時間後に腹腔滲出マクロファージを採取して2...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 495
Main Authors 前田定秋, 山田隆史, 佐伯万騎男, 上崎善規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:我々は, 培養一次知覚神経節細胞を用いてブラジキン(BK)による細胞内カルシウムの上昇に対して一酸化窒素(NO)がcyclic GMPの産生を介して促進作用を有することを報告した. 本実験ではBKの産生を介して生じるカオリン誘発writhing反応に対するNOの影響を調べ, 一次知覚神経における痛みの受容に対するNOの作用について検討した. 【方法】ddy系雄性マウスに各薬物を投与後, カオリン(250mg/kg)を腹腔内投与し, 直後から30分間におこるwrithing回数を測定した. また, マウスにリポポリサッカリド(LPS)を腹腔内投与し, 3時間後に腹腔滲出マクロファージを採取して24時間培養後, 培養上清中の亜硝酸イオン量を測定した. 【結果と考察】カオリン誘発writhing反応はBKのB2受容体アンタゴニストの前投与により抑制された. カオリン投与24時間前にLPSを投与することによりwrithing回数の増加がみられ, この作用は, 誘導型NO合成酵素(iNOS)阻害剤により拮抗された. 腹腔マクロファージは, LPSの投与量に依存してNOを産生し, このNO産生はiNOS阻害剤により抑制された. 一次知覚神経終末において, NOはBKにより誘発される痛み刺激に対して増強作用を有し, 生体内においてNOが発痛助物質として機能していることが示唆された.
ISSN:0385-0137