加齢に伴う振動覚閾値の変化 複数の刺激周波数による検討および体性感覚誘発電位との関連性
加齢に伴う振動覚低下の特徴と機序を検討するために, 20歳台から90歳台までの正常者の振動覚閾値 (VPT) を測定した. 振動刺激周波数は63Hz, 120Hz, 250Hzの3種類を用い, 測定部位は両側第II指末節の腹側とした. 同時に伝導路に共通部分の多い体性感覚誘発電位 (SEP) を記録して対比検討した. VPTは40歳台より上昇傾向を示したが, 高い周波数で特に閾値の上昇が大きく, 若年層でみられた周波数別の閾値のパターン (63Hz>125Hz>250Hz) が高齢者 (80~90歳台) では逆転した (63Hz<125Hz<250Hz). 身長補正をし...
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| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 27; no. 5; pp. 573 - 577 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.09.1990
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| Subjects | |
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| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.27.573 |
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| Summary: | 加齢に伴う振動覚低下の特徴と機序を検討するために, 20歳台から90歳台までの正常者の振動覚閾値 (VPT) を測定した. 振動刺激周波数は63Hz, 120Hz, 250Hzの3種類を用い, 測定部位は両側第II指末節の腹側とした. 同時に伝導路に共通部分の多い体性感覚誘発電位 (SEP) を記録して対比検討した. VPTは40歳台より上昇傾向を示したが, 高い周波数で特に閾値の上昇が大きく, 若年層でみられた周波数別の閾値のパターン (63Hz>125Hz>250Hz) が高齢者 (80~90歳台) では逆転した (63Hz<125Hz<250Hz). 身長補正をしたSEPのN9, N13, N20および中枢伝導時間 (CCT: N20-N13) は加齢とともに延長傾向を示した. しかし, VPTとの間にはどの周波数においても関連性を認めなかった. したがって, 加齢に伴う著明な振動覚低下は中枢神経後索路系の変化や末梢神経伝導速度の遅延だけでは説明し得ないと考えられた. 若年層でみられたVPTの閾値パターンは Pacini 小体の特性を表していると考えられ, 加齢に伴うその退行変性とVPT上昇との関連性が推測された. |
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| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.27.573 |