peroxynitriteによる細胞死のIGF-Iによる抑制

われわれはヒトニューロブラストーマSH-SY5Y細胞を用いて, 細胞増殖因子のinsulirn-like growth factor-I(IGF-I)がperoxynitriteにより誘導される細胞死を抑制することをすでに報告している. 今回, このIGF-Iの細胞死抑制効果の作用機序について検討した. 【方法】peroxynitrite発生剤としてSIN-I(1mM)を用い, 細胞死の判定はトリパンブルー染色により行った. また, SIN-Iで処置した細胞を分画し, 特異的抗体を用いたウエスタンブロッティング法により, cytochromecの細胞質への漏出を測定した. カスパーゼ3活性の測...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 479
Main Authors 佐伯万騎男, 前田定秋, 上崎善規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:われわれはヒトニューロブラストーマSH-SY5Y細胞を用いて, 細胞増殖因子のinsulirn-like growth factor-I(IGF-I)がperoxynitriteにより誘導される細胞死を抑制することをすでに報告している. 今回, このIGF-Iの細胞死抑制効果の作用機序について検討した. 【方法】peroxynitrite発生剤としてSIN-I(1mM)を用い, 細胞死の判定はトリパンブルー染色により行った. また, SIN-Iで処置した細胞を分画し, 特異的抗体を用いたウエスタンブロッティング法により, cytochromecの細胞質への漏出を測定した. カスパーゼ3活性の測定は, 特異的合成ペプチド蛍光基質を用いて検出した. このSIN-I処理細胞にIGF-I(10nM)を作用させて, 同様に細胞死とcytochrome cの細胞質への漏出およびカスパーゼ3活性を測定した. 【結果および考察】(1)SIN-I処置により, 24時間後に約40%のSH-SY5Y細胞に細胞死が誘導されるとともに, カスパーゼの活性化因子であるcytochrome cのミトコンドリアから細胞質への漏出およびカスパーゼ3の活性化が観察された. (2)IGF-I処置により, SIN-Iにより誘導される細胞死の抑制とともに, カスパーゼ3の活性化も抑制されたが, cytochrome cの漏出は抑制されなかった. これらの結果より, IGF-1はcytochrome cの漏出以降の経路に働いて細胞死抑制効果をもたらすことが推測された.
ISSN:0385-0137