CD44を介する, 象牙質フォスフォフォリンによる歯髄細胞の分化促進

【目的】象牙質基質はin vivoで象牙芽細胞の分化を促進することが知られている. そこで, 象牙質の基質タンパク質である象牙質フォスフォフォリンの, 歯髄細胞の象牙芽細胞様細胞への分化への効果について検討した. 【方法】ラット歯髄から酵素処理によって歯髄細胞を分離して, アスコルビン酸, デキサメサゾン, 2-グリセロ, リン酸を含むalphaMEM培地中で培養した. 一部のディッシュには, ウシ象牙質から精製したフォスフォフォリンを培地中に添加した. 細胞からRMを抽出して, 象牙芽細胞のマーカーである象牙質シアロプロテイン(DSP)の発現をRT-PCRで検出した. 【結果】歯髄細胞は,...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 455
Main Authors 藤沢隆一, 水野守道, 久保木芳徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】象牙質基質はin vivoで象牙芽細胞の分化を促進することが知られている. そこで, 象牙質の基質タンパク質である象牙質フォスフォフォリンの, 歯髄細胞の象牙芽細胞様細胞への分化への効果について検討した. 【方法】ラット歯髄から酵素処理によって歯髄細胞を分離して, アスコルビン酸, デキサメサゾン, 2-グリセロ, リン酸を含むalphaMEM培地中で培養した. 一部のディッシュには, ウシ象牙質から精製したフォスフォフォリンを培地中に添加した. 細胞からRMを抽出して, 象牙芽細胞のマーカーである象牙質シアロプロテイン(DSP)の発現をRT-PCRで検出した. 【結果】歯髄細胞は, DSPを発現し, 石灰化結節を形成したので, 象牙芽細胞様細胞に分化したことが確認された. 免疫沈降実験から, この細胞の表面にはCD44が存在することが明らかになった. フォスフォフォリン存在下では, アルカリフォスファターゼ活性およびDSPの発現が上昇した. 細胞接着実験では, この細胞はフォスフォフォリンに対して接着活性を示した. この接着は抗CD44抗体によって阻害された. 【考察】フォスフォフォリンは歯髄細胞の象牙芽細胞様細胞への分化を促進し, この効果には, おそらくCD44を介する細胞接着が関与する. CD44はヒアルロン酸や骨のリンタンパク質であるオステオポンチンのリセプターであるが, 象牙質でもリンタンパク質のリセプターとして作用すると考えられる.
ISSN:0385-0137