歯肉におけるMn-SOD,i-NOS及びe-NOS mRNAの発現
【目的】細胞や組織の代謝, 輸送に活性酸素やフリーラジカルが関与しており, 近年これらの関連酵素の免疫組織学的報告が一部の組織細胞で報告されているが, 歯肉組織についてはほとんど知られていない. そこで今回我々は, 正常マウスの歯肉組織における活性酸素消去酵素及びフリーラジカル合成酵素のmRNA発現について検索し, 各酵素機能的動態の相互関係を知るための基礎実験を行った. 【方法】材料は8週令マウスで, 麻酔後, 灌流固定, パラフィン包埋を行った. 薄切後, Mn-SOD, i-NOS, e-NOS probeを用いin situ hybridization法(非RI及びRI法)によりmRN...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 400 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】細胞や組織の代謝, 輸送に活性酸素やフリーラジカルが関与しており, 近年これらの関連酵素の免疫組織学的報告が一部の組織細胞で報告されているが, 歯肉組織についてはほとんど知られていない. そこで今回我々は, 正常マウスの歯肉組織における活性酸素消去酵素及びフリーラジカル合成酵素のmRNA発現について検索し, 各酵素機能的動態の相互関係を知るための基礎実験を行った. 【方法】材料は8週令マウスで, 麻酔後, 灌流固定, パラフィン包埋を行った. 薄切後, Mn-SOD, i-NOS, e-NOS probeを用いin situ hybridization法(非RI及びRI法)によりmRNA発現を観察した. 【結果及び考察】上顎歯肉における, Mn-SOD mRNAの発現は, 角化層の直下及び基底細胞層の細胞に陽性反応が認められ, 粘膜固有層も弱陽性であった. 一方i-NOS mRNAについては, 粘膜上皮及び粘膜固有層とも陰性を示した. これに対しe-NOS mRNAは, 角化層直下, 基底細胞層及び粘膜固有層に陽性反応が認められた. 以上よりMn-SODは, 角化層直下の細胞において発現したことから, これらの部位において活性酸素を消去する必要性があり, 本酵素により細胞の角化を制御調節している可能性が考えられる. 【総括】粘膜上皮及び固有層ではMn-SOD, e-NOS mRNA発現が認められたが, i-NOS mRNAはいずれの領域からも認められなかった. |
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ISSN: | 0385-0137 |