ペルチエ素子を用いた局所大脳冷却装置によるてんかん性異常放電の抑制に関する研究
【目的】大脳冷却にててんかん放電が抑制されるとの報告がある. 今回我々は, ペルチエ素子を用いた大脳冷却装置および温度制御装置を試作し, その効果について検討したので報告する. 【方法】カイニン酸3μgをラット大脳皮質2mm深部に注入することでてんかんモデルを作成した. 開頭部に冷却装置を装着, 37℃の冷却水を装置内水路に灌流させ, 冷却時発生する熱の放散を行い, また温度制御装置にて脳表温を一定に保ちながら冷却を行った. 冷却前後のてんかん放電の変化, 組織変化につき検討した. 【結果】脳表温は冷却直後より低下し, 10秒以内に24.9±0.3℃に維持された, 冷却後高振幅のてんかん放電が...
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Published in | 山口医学 Vol. 57; no. 2/3; p. 60 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
30.06.2008
Yamaguchi University Medical Association |
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ISSN | 0513-1731 |
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Summary: | 【目的】大脳冷却にててんかん放電が抑制されるとの報告がある. 今回我々は, ペルチエ素子を用いた大脳冷却装置および温度制御装置を試作し, その効果について検討したので報告する. 【方法】カイニン酸3μgをラット大脳皮質2mm深部に注入することでてんかんモデルを作成した. 開頭部に冷却装置を装着, 37℃の冷却水を装置内水路に灌流させ, 冷却時発生する熱の放散を行い, また温度制御装置にて脳表温を一定に保ちながら冷却を行った. 冷却前後のてんかん放電の変化, 組織変化につき検討した. 【結果】脳表温は冷却直後より低下し, 10秒以内に24.9±0.3℃に維持された, 冷却後高振幅のてんかん放電が持続的に抑制され, 中止とともに再び活性化した. 冷却温度により抑制に差が生じた. 組織学的変化は認められなかった. 【結語】本装置のてんかん放電の抑制効果が示され, 本システムが新しいてんかんの治療法になりうる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0513-1731 |