バーンアウト・スケールを用いた老年者介護の家族負担度の検討 (第3報) アルツハイマー型老年痴呆における痴呆問題行動・身体障害度と家族介護負担度の関連
在宅で介護を続けているアルツハイマー型老年痴呆 (SDAT) 患者25名 (平均年齢83.8歳) とその主たる介護者 (平均年齢59.9歳) を対象にして本研究を行った. 介護者にアンケートを渡しその回答を分析した. アンケートには, 1) 患者の痴呆の問題行動の程度 (“痴呆問題行動度”) と, 問題行動に対する介護者の感じている介護負担感 (“痴呆負担感”), 2) 患者の身体症状 (“BADL”) と, BADLの低下に対する介護者の感じている介護負担感 (“身体負担感”), および, 3) Pines らのバーンアウト・スケールが含まれる. バーンアウト・スケールから計算されるバーンア...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 382 - 387 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.05.2001
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.38.382 |
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Summary: | 在宅で介護を続けているアルツハイマー型老年痴呆 (SDAT) 患者25名 (平均年齢83.8歳) とその主たる介護者 (平均年齢59.9歳) を対象にして本研究を行った. 介護者にアンケートを渡しその回答を分析した. アンケートには, 1) 患者の痴呆の問題行動の程度 (“痴呆問題行動度”) と, 問題行動に対する介護者の感じている介護負担感 (“痴呆負担感”), 2) 患者の身体症状 (“BADL”) と, BADLの低下に対する介護者の感じている介護負担感 (“身体負担感”), および, 3) Pines らのバーンアウト・スケールが含まれる. バーンアウト・スケールから計算されるバーンアウト・スコアとの相関係数は“BADL”が, r=-0.719, p<0.001,“身体負担感”が, r=0.791, p<0.001,“痴呆問題行動度”が, r=0.740, p<0.001,“痴呆負担感”が, r=0.727, p<0.001と正あるいは負の高い直線的な相関を示したが, 身体的問題と痴呆の問題行動の両者を考慮した,“痴呆問題行動度”+(20-“BADL”) との相関は, r=0.853, p<0.001, BADL低下による負担感と痴呆の問題行動からくる負担感の両者を合計した負担感 (“身体負担感”+“痴呆負担感”) との相関はr=0.874, p<0.001, とより直線性が高くなり, 介護負担感を考える場合, 痴呆の問題行動とBADL低下の問題の両者を考慮する必要性があると考えられた. バーンアウト・スコアは, BADLの低下に伴い増加し, BADLが12~14点以上では比較的低く推移するが, 10~12点以下に下がると急に増加した. またBADLが4~6点以下に低下するとバーンアウト・スコアも低下する傾向にあった. 本アンケートは介護者のおかれているストレスを評価するのに有用であると考えられる. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.38.382 |