新たな腫瘍マーカー「血清p53抗体」の開発

多くの固形癌では, p53遺伝子異常に起因してp53タンパクの過剰発現を認め,このp53タンパクに対するIgG抗体が癌患者血清中に出現する.われわれは,血清p53抗体を新規腫瘍マーカーとして臨床応用するためにELISAキットを開発した.健常者205名の95%が分布する値から1.3U/mlを基準値とした.癌患者1,085例で20.4%の陽性率であった.扁平上皮癌症例では,腺癌症例と比較して陽性率が有意に高かった.また, p53抗体陽性症例では,抗癌剤に対する感受性が低かった.また, p53抗体陽性症例あるいは,治療後も陽性が持続している症例では,予後不良であった.今後,各種固形癌の早期診断・治療...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 7; pp. 1551 - 1559
Main Authors 落合, 武徳, 島田, 英昭
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1551

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Summary:多くの固形癌では, p53遺伝子異常に起因してp53タンパクの過剰発現を認め,このp53タンパクに対するIgG抗体が癌患者血清中に出現する.われわれは,血清p53抗体を新規腫瘍マーカーとして臨床応用するためにELISAキットを開発した.健常者205名の95%が分布する値から1.3U/mlを基準値とした.癌患者1,085例で20.4%の陽性率であった.扁平上皮癌症例では,腺癌症例と比較して陽性率が有意に高かった.また, p53抗体陽性症例では,抗癌剤に対する感受性が低かった.また, p53抗体陽性症例あるいは,治療後も陽性が持続している症例では,予後不良であった.今後,各種固形癌の早期診断・治療効果の予測・手術後のモニタリングなどに広く応用されることが期待される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1551