回転台訓練による脳萎縮の治療について

• Published in: リハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; p. 961
• Main Author: 石川清
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本リハビリテーション医学会 1992; 社団法人日本リハビリテーション医学会; The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
• ISSN: 0034-351X

優秀なスポーツ選手に共通する基本とは, “頭がプレない, 軸がプレない”という私論に達し, この基本を養成する目的で回転台を考案・試作した. 多数の脳萎縮患者の治療に成功したが, そこには, 「脳萎縮の病因は主として視床の萎縮であり, その視床の萎縮の主な原因は大脳基底部の異常物質の沈着であり, この萎縮した視床に回転刺激を与えると, 視床は回復するという反射生理を有し, 視床が回復するにつれ脳血管の蘇生を促し, 血流が増え異常物質の融解・消失が起こる」という理論が存在する. 視床の回復に比例して知能も回復する. 視床の回復に要する時間は非常に個人差が大きい. 視床下部も回転刺激を受け, 血圧の低下, 白髪が黒っぽくなるなどのいろいろな現象がみられる. 86歳の男性において強い視床萎縮をきたしたアルツハイマー型水頭症の治療に成功し, 第30回日本ME学会, 第3回日本老年医学近畿地方会で発表した. 脳幹網様体から視床を経て大脳皮質に至る興奮が意識の機構に重大な役目を有し, 徘徊, 凶暴性痴呆でも発病1年以内であれば, 2～3週間の訓練でこの異常行動も消失する. 寝たきり老人, 痴呆の予防に日頃から回転訓練が必要である. 回転台訓練で腰曲がりも半減する. 姿勢の悪い子供たちの共通点は乗り物に弱いことだが, 回転台訓練で椎間腔の拡大が起こり姿勢もよくなり車酔いも簡単に解消される. 腰痛疾患に対する回転台訓練効果については, 第19回日本脊椎外科学会で発表した. ＜質疑応答＞ 君葵（座長）：回転訓練による脳萎縮への取り組みですが, (1)いつごろから始めまれましたか, (2)今までに似た内容のご報告があるのでしょうか.