脳血管障害の疫学的研究 山梨県白州町における年齢と血圧因子を中心にした10年間の追跡調査成績
脳血管障害の発症要因を疫学的アプローチによって解明し, 本症の予防または管理上の手がかりを得る目的で, 40歳以上の地域住民1662人を対象に10年間, 追跡調査を行なった. 追迹期間中に169例の新たな脳血管障害の発症がみられた. 脳血栓, 脳出血ともに加齢とともに発病率が増加するが, 近年, 高齢者における脳血栓の発病率の増加が著しく, 脳出血と脳血栓の比は低下の傾向を示した. 高血圧症からの脳血管障害の発症は, 正常血圧からの発症の約5倍であり, 40歳代, 50歳代の年齢層では高血圧による本症の発症危険度が有意に高い. 70歳以上の年齢層では, 脳出血の発症とは冬期の拡張期血圧の上昇が...
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| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 11; no. 6; pp. 382 - 392 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.11.1974
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.11.382 |
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| Summary: | 脳血管障害の発症要因を疫学的アプローチによって解明し, 本症の予防または管理上の手がかりを得る目的で, 40歳以上の地域住民1662人を対象に10年間, 追跡調査を行なった. 追迹期間中に169例の新たな脳血管障害の発症がみられた. 脳血栓, 脳出血ともに加齢とともに発病率が増加するが, 近年, 高齢者における脳血栓の発病率の増加が著しく, 脳出血と脳血栓の比は低下の傾向を示した. 高血圧症からの脳血管障害の発症は, 正常血圧からの発症の約5倍であり, 40歳代, 50歳代の年齢層では高血圧による本症の発症危険度が有意に高い. 70歳以上の年齢層では, 脳出血の発症とは冬期の拡張期血圧の上昇が, 脳血栓の発症とは冬期の収縮期血圧がより大きな関連を示した. 高血圧の管理により, 脳出血, 脳血栓ともに発症危険度が明らかに低下する. 以上の成績は, 脳血管障害の発症要因として年齢と血圧が最も重要な因子であること, また, 高血圧の管理は脳出血, 脳血栓を問わず新たな脳血管障害の発症を減少させることを示唆するものと考えられる. |
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| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.11.382 |