ヒト歯肉線維芽細胞のインターロイキン-2受容体(IL-2R)βならびにγの発現とIL-2応答性

【目的】慢性歯周炎病巣部にはリンパ球が浸潤し, その産生するサイトカインの病態形成への影響が示唆されている. そこで, 歯肉線維芽細胞(HGF)のIL-2受容体(IL-2R)発現とIL-2応答性について検討した. 【材料と方法】1)T細胞の動態は免疫組織化学染色により検討した. 2)HGFは主としてprimary cultureのAK-G細胞を使用した. 3)IL-2Rα, βおよびγの発現はRT-PCR法とFACSで調べた. 4)HGFを1×105cells/mlで4日間培養した後IL-2で24時間刺激し, 上清中のIL-8とMCP-1をELISA法で, ICAM-1の発現をFACSで調べた...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 406
Main Authors 小澤亜紀子, 菅原俊二, 上原亜希子, 玉井利代子, 多田浩之, 島内英俊, 高田春比古
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】慢性歯周炎病巣部にはリンパ球が浸潤し, その産生するサイトカインの病態形成への影響が示唆されている. そこで, 歯肉線維芽細胞(HGF)のIL-2受容体(IL-2R)発現とIL-2応答性について検討した. 【材料と方法】1)T細胞の動態は免疫組織化学染色により検討した. 2)HGFは主としてprimary cultureのAK-G細胞を使用した. 3)IL-2Rα, βおよびγの発現はRT-PCR法とFACSで調べた. 4)HGFを1×105cells/mlで4日間培養した後IL-2で24時間刺激し, 上清中のIL-8とMCP-1をELISA法で, ICAM-1の発現をFACSで調べた. 5)抗IL-2Rα, βおよびγモノクローナル抗体による抑制実験も行った. 【結果と考察】1)炎症歯肉基底膜にT細胞の著しい浸潤を認めた. 2)HGFにはIL-2Rβおよびγを発現し, IL-2Rαは認められなかった. 3)IL-2刺激したHGFではMCP-1産生が増加し, ICAM-1発現が増強していたが, IL-8の産生には変化はなかった. 4)HGFのIL-2応答は抗IL-2Rβおよびγ抗体で抑制された. 以上のことからHGFはT細胞由来のIL-2に応答して, MCP-1産生とICAM-1発現を亢進して, 歯周組織の慢性炎症病巣形成に関わる可能性が示唆された.
ISSN:0385-0137