動脈硬化の診断と治療
循環器内科が治療を行う動脈硬化性疾患には, 冠動脈硬化性疾患と閉塞性動脈硬化症がある. 現在の動脈硬化性疾患の診断と治療の現状と問題点について述べる. 診断と治療 冠動脈硬化性疾患の多くは急性冠症候群といわれる粥状硬化巣の炎症性変化に引き続いて生じる血栓形成を主要因とする病態である. 予後治療効果の予測に高感度CRP(C反応性タンパク)が注目されている. 我々は冠循環中にCRPが上昇する事, 動脈硬化巣にCRPが存在する事を確認しており病態との関わりを検討中である. 動脈硬化性病変の診断には動脈造影法とともに, 動脈内腔と動脈壁の病変の評価が可能な血管内超音波法(IVUS)が不可欠な診断法とな...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 3; pp. 354 - 355 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.08.2003
Kitakanto Medical Society |
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 循環器内科が治療を行う動脈硬化性疾患には, 冠動脈硬化性疾患と閉塞性動脈硬化症がある. 現在の動脈硬化性疾患の診断と治療の現状と問題点について述べる. 診断と治療 冠動脈硬化性疾患の多くは急性冠症候群といわれる粥状硬化巣の炎症性変化に引き続いて生じる血栓形成を主要因とする病態である. 予後治療効果の予測に高感度CRP(C反応性タンパク)が注目されている. 我々は冠循環中にCRPが上昇する事, 動脈硬化巣にCRPが存在する事を確認しており病態との関わりを検討中である. 動脈硬化性病変の診断には動脈造影法とともに, 動脈内腔と動脈壁の病変の評価が可能な血管内超音波法(IVUS)が不可欠な診断法となった. IVUSで動脈の狭窄部位の評価を行い, バルーンで狭窄部位を拡張する治療(POBA), カッターで動脈硬化組織を切除する方向性アテレクトミー(DCA), 高速回転のオリーブ型のドリルで動脈硬化組織を粉砕するロータブレーター, 網目状の金属を血管壁に裏打ちするステントなどの種々の治療法による経皮的血管形成術を行い治療成績が向上した. 急性心筋梗塞では形成された新鮮な血栓を血栓吸引カテーテルにより除去する治療法を行い良好な成績である. 問題点と対策 血管形成術を行った部位に30-20%の割合で再狭窄を生じる事が最大の問題点である. 再狭窄には新生内膜の増殖(動脈硬化巣の星状細胞が関連)と外膜の収縮が関与すると考えられている. 新生内膜の増殖抑制方法として下肢動脈硬化症例に血管内照射療法を行い良好な成績を得ている. 現在治療部位に薬物を高濃度で作用させるdrug eluting stentが注目されている. また, PCI後早期に血管外膜に好中球が浸潤しており, 好中球抑制による外膜の収縮抑制が可能か検討中である. 自家骨髄幹細胞移植も検討中である. (共同研究者(循環器内科)中野明彦, 岡本栄一, 星野洋一, 直田匡彦, 宮嶋玲人, 本田忠暁, 倉林正彦(放射線科), 櫻井英幸) |
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ISSN: | 1343-2826 |