ラット耳下腺腺房細胞の基底側膜における水チャンネルAQP8のアドレナリン作動薬による増量とその機序

【目的】耳下腺腺房細胞において, 管腔膜(APM)には水チャンネル-アクアポリン5(AQP5)が存在し, M3ムスカリン受容体やα1アドレナリン受容体を刺激すると増量することを我々は既に報告している. 我々はさらに基底側膜(BLM)にも水チャンネルが存在すると考え, Western Blotting法と細胞分画法を用い検討した結果, AQP8の存在を認めた. そこで神経刺激によるBLMにおけるAQP8増量機序について検討した. 【方法】耳下腺切片を諸種の薬物と反応後, APMとBLM, 細胞内小胞(ICM)を調製し, AQP8のC末端アミノ酸配列を用いて調製した抗AQP8抗体を用いてWeste...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 446
Main Authors 飯田博一, 袁振芳, 石川康子, 石田甫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】耳下腺腺房細胞において, 管腔膜(APM)には水チャンネル-アクアポリン5(AQP5)が存在し, M3ムスカリン受容体やα1アドレナリン受容体を刺激すると増量することを我々は既に報告している. 我々はさらに基底側膜(BLM)にも水チャンネルが存在すると考え, Western Blotting法と細胞分画法を用い検討した結果, AQP8の存在を認めた. そこで神経刺激によるBLMにおけるAQP8増量機序について検討した. 【方法】耳下腺切片を諸種の薬物と反応後, APMとBLM, 細胞内小胞(ICM)を調製し, AQP8のC末端アミノ酸配列を用いて調製した抗AQP8抗体を用いてWestern Blottingを行い, AQP8の動態を調べた. 【結果】Western Blottingの結果, BLMとICMにAQP8の局在を認めた. Epinephrine(Epi)やisoproterenol(IPR)による刺激によりBLMにおけるAQP8量は増量した. また, dibutyryl(Bt2)-cAMPやBt2-cGMP刺激によりBLMのAQP8量は増量した. さらにIPR刺激によるAQP8増量はKT5720により阻害されるがKT5823によっては阻害されず, またEpi刺激によるAQP8増量はKT5823によってもKT5720によっても阻害された. 【総括】ラット耳下腺基底側膜においてAQP8が存在し, α-及びβ-受容体の刺激はこのAQP8の増量を誘導した. この誘導にはPKAやPKGの関与が示された.
ISSN:0385-0137