ラット臼歯の歯根吸収に関する免疫組織化学的研究
目的 ラット臼歯形成過程において第二臼歯遠心根の遠心側に生理的歯根吸収が認められる(日本解剖学会, 2000年). 今回我々はラット臼歯における歯根吸収を免疫組織化学的に検討したので, その結果を報告する. 方法 410週齢のウィスター系ラットを用いた. 上顎臼歯を4%パラフォルムアルデヒドによる潅流, 浸漬固定の後, EDTA脱灰, バラフィン包埋により, 水平断連続切片を作製し, ヘマトキシリン, エオジン染色および免疫組織化学染色を施し観察した. 結果 4-10週齢ラットの上顎第二臼歯遠心根の歯冠側歯根表層に吸収窩を認め, そのサイズは加齢により増大した. 4週齢ラットでは吸収窩に多核細...
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          | Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 495 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            歯科基礎医学会
    
        30.08.2000
     Japanese Association for Oral Biology  | 
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| ISSN | 0385-0137 | 
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| Summary: | 目的 ラット臼歯形成過程において第二臼歯遠心根の遠心側に生理的歯根吸収が認められる(日本解剖学会, 2000年). 今回我々はラット臼歯における歯根吸収を免疫組織化学的に検討したので, その結果を報告する. 方法 410週齢のウィスター系ラットを用いた. 上顎臼歯を4%パラフォルムアルデヒドによる潅流, 浸漬固定の後, EDTA脱灰, バラフィン包埋により, 水平断連続切片を作製し, ヘマトキシリン, エオジン染色および免疫組織化学染色を施し観察した. 結果 4-10週齢ラットの上顎第二臼歯遠心根の歯冠側歯根表層に吸収窩を認め, そのサイズは加齢により増大した. 4週齢ラットでは吸収窩に多核細胞を認め, 5-6週齢ラットでは吸収窩に多核細胞または単核細胞を認め, 吸収窩の一部に無細胞セメント質の薄層を認めた. 8-10週齢ラットの吸収窩には単核細胞を認め, すべての吸収窩象牙質表面に無細胞セメント質が認められた. 5-6週齢ラットにおいてオステオポンチンは吸収窩におけるED1陽性多核細胞周囲の歯根表面に出現するが8週齢ラットでは陰性となった. 5-10週齢ラットの吸収窩において無細胞セメント質表面はBSP陽性を示し, コラーゲン線維は無細胞セメント質表面に付着していた. 総括 生理的歯根吸収と修復の過程で, 基質蛋白が時期特異的に発現する事が示唆された. | 
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| ISSN: | 0385-0137 |