EPMAによる石灰化度の定量化
【目的】石灰化度という表現は具体的な定量値が無い場合には, 得られた結果に対する評価が困難な場合もある. 一方, EPmmは石灰化組織の形態観察と元素の定量分析が可能な機器として硬組織の研究分野で汎用されている. EPMAによる石灰化組織の定量分析では, 測定精度の向上には酸化物を用いた正確な標準試料が必須である. そこでEPMAによる硬組織のCaおよびPの定量分析のための新しい標準試料を作製し, 石灰化度の定量化を試みた. 【方法】標準試料は, 当研究室にて合成したhydroxyapatite(HA)と純度99.9%の炭素(C)の2系からなる. HAとCの重量比で異なる5種類の混和物を作製し...
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          | Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 404 | 
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| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            歯科基礎医学会
    
        30.08.2000
     Japanese Association for Oral Biology  | 
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| ISSN | 0385-0137 | 
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| Summary: | 【目的】石灰化度という表現は具体的な定量値が無い場合には, 得られた結果に対する評価が困難な場合もある. 一方, EPmmは石灰化組織の形態観察と元素の定量分析が可能な機器として硬組織の研究分野で汎用されている. EPMAによる石灰化組織の定量分析では, 測定精度の向上には酸化物を用いた正確な標準試料が必須である. そこでEPMAによる硬組織のCaおよびPの定量分析のための新しい標準試料を作製し, 石灰化度の定量化を試みた. 【方法】標準試料は, 当研究室にて合成したhydroxyapatite(HA)と純度99.9%の炭素(C)の2系からなる. HAとCの重量比で異なる5種類の混和物を作製し, 600kg/cm2で加圧成形し体積および重量を求めた. 単位はHA含量にしたがってHAmg/mm3で表した. これを標準試料として歯胚を含むラット顎骨のEPMAによる反射電子像(BEI)およびCaおよびPの面分析(WDS)に供した. 【結果】作製した標準試料はHA含量で0.359~1.817HAmg/mm3に相当し, EPMAによるCPS値とHAmg/mm3との間では, r=0.9993の高い相関係数が得られた. また同時に部位により違いがあるもののラットの形成期エナメル質と象牙質では1.5HAmg/mm3前後の第1近似が得られた. 【考察】試作した標準試料は酸化物であり, 石灰化組織と同じ元素によって構成されているという利点もある. より正確な定量分析には酸化物の補正計算が必要であるが, 分析結果の第1近似としては十分に有用な値が得られた. | 
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| ISSN: | 0385-0137 |