皮厚計による家族性高コレステロール血症患者のアキレス腱部横径の測定について
家族性高コレステロール血症患者 (FH) のアキレス腱 (〔ア〕腱) の肥厚の触診診断の有用性を検討する目的で,〔ア〕腱部横径を皮厚計を用いて測定し, 次の結果を得た. (1) FHの〔ア〕腱部横径 (ATT) は, 28.3±2mm (mean±SEM) であり, 非FHの正脂血症群22.5±1mm, 高コレステロール (Chol) 群20±1mm, 高トリグリセライド (TG) 群25±2mm, mixed hyperlipidemia 群22±1mmに比し有意の肥厚を示した (各群ともp<0.01). 非FH各群間に有意の差はなかった. (2) 非FHで, ATTは, 肥満群 (肥...
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| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 17; no. 6; pp. 618 - 623 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.11.1980
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| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.17.618 |
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| Summary: | 家族性高コレステロール血症患者 (FH) のアキレス腱 (〔ア〕腱) の肥厚の触診診断の有用性を検討する目的で,〔ア〕腱部横径を皮厚計を用いて測定し, 次の結果を得た. (1) FHの〔ア〕腱部横径 (ATT) は, 28.3±2mm (mean±SEM) であり, 非FHの正脂血症群22.5±1mm, 高コレステロール (Chol) 群20±1mm, 高トリグリセライド (TG) 群25±2mm, mixed hyperlipidemia 群22±1mmに比し有意の肥厚を示した (各群ともp<0.01). 非FH各群間に有意の差はなかった. (2) 非FHで, ATTは, 肥満群 (肥満度≧120%) (25.3±4mm) が非肥満群 (肥満度<120%) (19.3±3mm) に比し有意の肥厚を示した (p<0.05). FHのATTは, 両群に比し有意の肥厚を示した (肥満群と, p<0.05, 非肥満群とp<0.01). (3) 非FHのATTは肥満度と有意の正の相関を示した (r=0.68 p<0.01). (4) FHのATTはレ線学的に測定した〔ア〕腱横径と有意の正の相関を示した (r=0.77, p<0.01). (5) ATT/肥満度比は, FH0.26±0.05が非FHの正脂血症群0.2±0.03, 高 Chol 群0.18±0.01, 高TG群0.2±0.01, mixed hypelipidenia 群0.2±0.01に比し有意の高値を示し, (各群ともp<0.01), FH, 非FH間の差はさらに顕著となった. (6) FH, 非FHを含めた検討で, ATT/肥満度比は血清 Chol 値と有意の正の相関を示した (r=0.48, p<0.01). 以上, 皮厚計を用いた〔ア〕腱部横径の測定は,〔ア〕腱肥厚の有無の鑑別に有効と思われ, 触診の有効性を示唆した. |
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| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.17.618 |