一酸化窒素による細胞死におけるp130Casの生存維持機構の破綻

近年, 一酸化窒素による細胞障害作用におけるperoxynitrite(ONOO-)の関与が示唆されている. われわれはONOO-でヒトニューロブラストーマSH-SY5Y細胞を処置し, チロシンニトロ化蛋白の検出を試み, 細胞死との関連について検討した. 【方法】SH-SY5Y細胞より細胞溶解液を調製し, 免疫沈降後, ウエスタンブロットにより解析した. 細胞死の判定はトリパンブルー染色により行った. 【結果】(1)ONOO-処置により, 細胞死が誘導されるとともに, 130k-Daの蛋白にニトロチロシンの生成が認められた. (2)ウエスタンブロットにより, 130k-Daの蛋白は接着斑蛋白の...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 423
Main Authors 佐伯万騎男, 前田定秋, 上崎善規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:近年, 一酸化窒素による細胞障害作用におけるperoxynitrite(ONOO-)の関与が示唆されている. われわれはONOO-でヒトニューロブラストーマSH-SY5Y細胞を処置し, チロシンニトロ化蛋白の検出を試み, 細胞死との関連について検討した. 【方法】SH-SY5Y細胞より細胞溶解液を調製し, 免疫沈降後, ウエスタンブロットにより解析した. 細胞死の判定はトリパンブルー染色により行った. 【結果】(1)ONOO-処置により, 細胞死が誘導されるとともに, 130k-Daの蛋白にニトロチロシンの生成が認められた. (2)ウエスタンブロットにより, 130k-Daの蛋白は接着斑蛋白のp130Casであることが示された. (3)ONOO-処置により, p130Casのチロシンリン酸化が抑制されるとともに, p130Casの下流に位置する蛋白であるCrkとp130Casの会合が失われた. (4)pl30Casの下流で生存維持シグナルとして働くことが知られているMAP Pkinaseの活性が, ONOO-処置により抑制された. 【考察】ONOO-による細胞死において, p130Casによる細胞生存維持機構の破綻が関与している可能性が示唆された.
ISSN:0385-0137