小腸と卵巣が嵌頓した閉鎖孔ヘルニア術後再発の1例

症例は83歳,女性. 79歳時に右閉鎖孔ヘルニアで手術を受けた.初回手術のヘルニア門の修復は腹膜縫縮と卵巣縫着が施行された.術後3年を経過した平成15年3月,腹痛で発症し,腸閉塞と診断された.腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニアの再発を認めた.緊急手術施行時に,ヘルニア嚢内に同時に嵌頓した小腸と卵巣とを認めた.腸切除は行わず,メッシュを使用し,ヘルニア門を閉鎖した.閉鎖孔ヘルニアの修復に卵巣など骨盤内臓器を用いることは,修復としては不十分である可能性が考えられた.本邦の術後再発症例15例の文献的検討でも卵巣や卵管の縫着後の再発が認められている.近年の閉鎖孔ヘルニアの報告では,ヘルニア門の修復にメッシ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 9; pp. 2495 - 2498
Main Authors 笹沼, 英紀, 小泉, 大, 関口, 忠司, 井寺, 奈美
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2495

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Summary:症例は83歳,女性. 79歳時に右閉鎖孔ヘルニアで手術を受けた.初回手術のヘルニア門の修復は腹膜縫縮と卵巣縫着が施行された.術後3年を経過した平成15年3月,腹痛で発症し,腸閉塞と診断された.腹部CT検査で右閉鎖孔ヘルニアの再発を認めた.緊急手術施行時に,ヘルニア嚢内に同時に嵌頓した小腸と卵巣とを認めた.腸切除は行わず,メッシュを使用し,ヘルニア門を閉鎖した.閉鎖孔ヘルニアの修復に卵巣など骨盤内臓器を用いることは,修復としては不十分である可能性が考えられた.本邦の術後再発症例15例の文献的検討でも卵巣や卵管の縫着後の再発が認められている.近年の閉鎖孔ヘルニアの報告では,ヘルニア門の修復にメッシュ使用が増加している.ヘルニア門の確実な修復のために可能な限り,メッシュの使用を検討すべきと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2495