感覚異常(アロディニア)に伴う三叉神経脊髄路核尾側亜核での一酸化窒素の動態
【目的】一酸化窒素(NO)は, 免疫系, 血管系, 神経系において, それぞれの部位でNO合成酵素により産生されサイトカインの制御, 血管弛緩作用, 神経伝達, 学習, 記憶といった精神作用など多様な生理作用を持つことが明らかにされている. 本研究では, 痛覚情報伝導系におけるNOの役割を明らかにする目的で, アロディニア発症動物を用い検討した. 【方法】実験動物 SD系雄性ラット(200g前後)を用いた. アロディニア動物の作成 左側下歯槽神経をクロミック製縫合糸で緩やかに結紮した. アロディニア発症の有無 Von Frey filamentsを用い触刺激に対する反応性の変化を調べた. 三叉...
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          | Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 468 | 
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| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            歯科基礎医学会
    
        30.08.2000
     Japanese Association for Oral Biology  | 
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| ISSN | 0385-0137 | 
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| Summary: | 【目的】一酸化窒素(NO)は, 免疫系, 血管系, 神経系において, それぞれの部位でNO合成酵素により産生されサイトカインの制御, 血管弛緩作用, 神経伝達, 学習, 記憶といった精神作用など多様な生理作用を持つことが明らかにされている. 本研究では, 痛覚情報伝導系におけるNOの役割を明らかにする目的で, アロディニア発症動物を用い検討した. 【方法】実験動物 SD系雄性ラット(200g前後)を用いた. アロディニア動物の作成 左側下歯槽神経をクロミック製縫合糸で緩やかに結紮した. アロディニア発症の有無 Von Frey filamentsを用い触刺激に対する反応性の変化を調べた. 三叉神経脊髄路核尾側亜核でのNOの動態 一酸化窒素測定電極を三叉神経脊髄路核尾側亜核浅層領域に挿入しNOの動態を測定した. 【結果と考察】下歯槽神経結紮後1週間から3週間にかけて結紮側は, 軽い触刺激に対し敏感に反応するようになった. カルバマゼピン〈10~50mg/kg)腹腔内投与により過敏反応は用量依存的に抑制された. 歯髄電気刺激およびNMDA(10mg/kg)静脈内投与に対する三叉神経脊髄路核尾側亜核でのNOの動態は, 結紮ラットで偽手術ラットに比べ亢進が観察された. これらの結果は, 下歯槽神経損傷に伴うアロディニアの発症に, 三叉神経脊髄路核尾側亜核のNO系が関与することを示唆している. | 
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| ISSN: | 0385-0137 |