臍ヘルニア内に嵌頓した転移巣により発見された胃癌の1例

内臓悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Joseph's noduleとして知られている.今回,原発の胃癌の診断に先行し発見された臍転移の1例を経験したので報告する.症例は, 65歳女性.主訴は,臍部の腫脹および疼痛.幼少時から,臍ヘルニアを指摘されていた. 6カ月前から,臍部の腫脹,疼痛を自覚し近医を受診,当科紹介となった.臍部に30×30mmの疼痛を伴う硬い結節を触知した.臍部の病変の他に嘔気,食欲不振も自覚していたため,上部消化管造影検査および内視鏡検査を施行した.体中部小彎から幽門部にかけ3型胃癌が疑われ,生検で腺癌と診断された.幽門側胃切除術および,臍ヘルニア切除術を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 7; pp. 1828 - 1831
Main Authors 近藤, 哲矢, 松尾, 浩, 山内, 一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.1828

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Summary:内臓悪性腫瘍の臍転移はSister Mary Joseph's noduleとして知られている.今回,原発の胃癌の診断に先行し発見された臍転移の1例を経験したので報告する.症例は, 65歳女性.主訴は,臍部の腫脹および疼痛.幼少時から,臍ヘルニアを指摘されていた. 6カ月前から,臍部の腫脹,疼痛を自覚し近医を受診,当科紹介となった.臍部に30×30mmの疼痛を伴う硬い結節を触知した.臍部の病変の他に嘔気,食欲不振も自覚していたため,上部消化管造影検査および内視鏡検査を施行した.体中部小彎から幽門部にかけ3型胃癌が疑われ,生検で腺癌と診断された.幽門側胃切除術および,臍ヘルニア切除術を施行した.腫瘍は,胃壁から露出し,周囲のリンパ節腫大,腹膜播種を認め,白色の結節を伴う大網が臍ヘルニア内容となっていた.病理組織検査でsignet ring cell carcinomaと診断された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1828