bisphosphonateの象牙質マトリックス・タンパク質発現への効果
従来, bisphosphonateは歯のタンパク質合成を抑制すると考えられていたが, 我々の最近の研究では逆にタンパク質合成を促進することを示唆する結果が得られた. そこで, この点を確認するために, 歯髄の器官培養系を用いて, 以下の実験を行った. 【方法】ラット切歯を摘出して縦に分割し, 歯をつけたまま歯髄をα-MEM培地中で培養した. 一部の培地中にはbisphosphonate(HEBP, 0.01mM)を添加した. 3日間培養した後, これらの材料のホモジネートよりtotal RNAを抽出した. 半定量的RT-PCRによって, 象牙質特異的タンパク質であるdentin sialop...
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| Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 443 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
歯科基礎医学会
1999
Japanese Association for Oral Biology |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0385-0137 |
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| Summary: | 従来, bisphosphonateは歯のタンパク質合成を抑制すると考えられていたが, 我々の最近の研究では逆にタンパク質合成を促進することを示唆する結果が得られた. そこで, この点を確認するために, 歯髄の器官培養系を用いて, 以下の実験を行った. 【方法】ラット切歯を摘出して縦に分割し, 歯をつけたまま歯髄をα-MEM培地中で培養した. 一部の培地中にはbisphosphonate(HEBP, 0.01mM)を添加した. 3日間培養した後, これらの材料のホモジネートよりtotal RNAを抽出した. 半定量的RT-PCRによって, 象牙質特異的タンパク質であるdentin sialophosphoprotein(DSPP)の発現を検出した. 【結果と考察】DSPPのPCR産物は歯髄の器官培養系からは得られたが, 骨芽細胞からは得られず, このタンパク質が歯髄に特異的に発現していることが確認できた. HEBPを添加した歯髄培養系では, actinおよびosteocalcinの遺伝子発現には変化がなかったが, DSPP遺伝子発現の増加が認められた. 最近, bisphosphonateが骨芽細胞の分化を促進することが報告されたが, 象牙芽細胞においても同様に, 象牙質特異的遺伝子の発現を促進することが明らかになった. |
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| ISSN: | 0385-0137 |