病的骨新生における基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン

病的骨新生部位には粘液様間質が誘導されている. われわれは腫瘍や炎症等の病変で出現する粘液様間質には基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が豊富であることをみいだしてきたことから, 骨新生部にもHSPGが局在することを予測し, 組織学的に検討した. 【方法】骨新生をともなう歯根嚢胞30症例について10%フォルマリン固定, Plank-Rychlo法脱灰のパラフィン連続切片を作製し, HSPG, オステオカルシン(OSC), アルカリフォスファターゼ(ALP), に対する抗体をもちいた免疫染色とTRAP染色, また, HSPGコア蛋白質mRNAのin situハイブリダィゼーション(I...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 456
Main Authors 羽尾奈津子, 依田浩子, 木村信, 小林泰浩, 坂井英昭, 高木律男, 織田公光, 朔敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:病的骨新生部位には粘液様間質が誘導されている. われわれは腫瘍や炎症等の病変で出現する粘液様間質には基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が豊富であることをみいだしてきたことから, 骨新生部にもHSPGが局在することを予測し, 組織学的に検討した. 【方法】骨新生をともなう歯根嚢胞30症例について10%フォルマリン固定, Plank-Rychlo法脱灰のパラフィン連続切片を作製し, HSPG, オステオカルシン(OSC), アルカリフォスファターゼ(ALP), に対する抗体をもちいた免疫染色とTRAP染色, また, HSPGコア蛋白質mRNAのin situハイブリダィゼーション(ISH)をおこなった. 【結果と考察】HSPGは, 新生骨梁をとりまく粘液様間質および骨小腔内に強陽性であった. HSPG陽性間質には腫大した明調核を有する線維芽細胞様細胞が層状に配列していた. ISHでは, 骨梁周囲に配列するOSC, ALP免疫陽性骨芽細胞にHSPGコアmRNAの発現が高度であったが, 液様間質中の線維芽細胞様細胞では信号は微弱であった. 以上より, 歯根嚢胞壁外周に誘導される骨芽細胞とその前駆細胞はHSPGを生合成分泌し, HSPG豊富な基質内で骨芽細胞へ分化し, さらに骨小腔内埋入後も細胞周囲空間にHSPGを配置しつづけていることがしめされた.
ISSN:0385-0137