老年者の転移性脳腫瘍による脳出血について
老年者の転移性脳腫瘍による脳出血について臨床病理学的に検討し, 以下の結果を得た. 1) 老年者の脳腫瘍の頻度は1,500剖検例の7.7%で, そのうち転移性脳腫瘍は62.1%である. 2) 転移性脳腫瘍は原発性脳腫瘍に比して, やや高齢の男子に多い傾向があった. 原発巣は肺癌が最も多かった (61.1%). 3) 出血性のものは転移性脳腫瘍の22.2%, 原発性脳腫瘍の34.1%であった. 4) 出血性のもののうち, 肺癌62.5%, 胃癌18.7%を占めるが, 転移数で補正すると, 肺癌22.7%, 胃癌33.3%となる. 5) 出血性のもののうち, 神経症状が先行したものは5例 (31....
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 251 - 256 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.05.1985
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.22.251 |
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Summary: | 老年者の転移性脳腫瘍による脳出血について臨床病理学的に検討し, 以下の結果を得た. 1) 老年者の脳腫瘍の頻度は1,500剖検例の7.7%で, そのうち転移性脳腫瘍は62.1%である. 2) 転移性脳腫瘍は原発性脳腫瘍に比して, やや高齢の男子に多い傾向があった. 原発巣は肺癌が最も多かった (61.1%). 3) 出血性のものは転移性脳腫瘍の22.2%, 原発性脳腫瘍の34.1%であった. 4) 出血性のもののうち, 肺癌62.5%, 胃癌18.7%を占めるが, 転移数で補正すると, 肺癌22.7%, 胃癌33.3%となる. 5) 出血性のもののうち, 神経症状が先行したものは5例 (31.3%) だが, 出血に伴う意識障害を示したものはなかった. 大出血は癌発見後の例にみられた. 6) 出血は全身的なDIC, 高血圧と関係がなく, 局所的な原因によると考えられた. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.22.251 |