肝膿瘍を契機に発症したと思われる血球貪食症候群の1例
症例は67歳,男性.イレウスの診断で保存的加療中に,持続する発熱,突然の赤血球および血小板の減少を認めたため精査を開始した.身体所見で軽度肝腫大あり,血液生化学検査で肝胆道系酵素の異常およびCRPの著明な上昇が認められ,また血清フェリチンの上昇,凝固能の低下を認めた.骨髄スメアで,血球貪食像と顆粒球の増加を認め,また全身精査目的の腹部CTで肝S4に肝膿瘍を認めたため,感染性の血球貪食症候群と診断した.診断当日よりステロイド投与を開始し,抗生剤投与も施行した.その後,速やかに解熱,末梢血液像,骨髄像は正常化し,肝膿瘍も軽快した.血球貪食症候群は比較的稀な疾患で,予後不良とされており,原因不明の発...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 8; pp. 1958 - 1961 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.08.2002
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.63.1958 |
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Summary: | 症例は67歳,男性.イレウスの診断で保存的加療中に,持続する発熱,突然の赤血球および血小板の減少を認めたため精査を開始した.身体所見で軽度肝腫大あり,血液生化学検査で肝胆道系酵素の異常およびCRPの著明な上昇が認められ,また血清フェリチンの上昇,凝固能の低下を認めた.骨髄スメアで,血球貪食像と顆粒球の増加を認め,また全身精査目的の腹部CTで肝S4に肝膿瘍を認めたため,感染性の血球貪食症候群と診断した.診断当日よりステロイド投与を開始し,抗生剤投与も施行した.その後,速やかに解熱,末梢血液像,骨髄像は正常化し,肝膿瘍も軽快した.血球貪食症候群は比較的稀な疾患で,予後不良とされており,原因不明の発熱, 2系統以上の血球成分の減少を認め,感染症を伴っている場合,本疾患を鑑別診断として念頭に置き,早期診断,早期治療が必要であると思われた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.63.1958 |