破骨細胞におけるファゴソーム成熟過程に与えるカルシトニンとODFの影響

我々は, 破骨細胞にラテックスビーズを取り込ませて形成させたファゴソームは, その成熟過程の初期に一過的に骨吸収窩/刷子縁と類似した内容物/膜組成を持つことを昨年の本体会で発表した. 今回, 破骨細胞の骨吸収活性を修飾する分子であるカルシトニン(CT)と破骨細胞分化因子(ODF/RANKL)が, ファゴソームの成熟過程にどのように影響するか検討した. 【方法】コラーゲンゲル上で誘導, 形成したマウスの破骨細胞様細胞をブラスチックシャーレ上に播種し, 接着させた後に, 周囲の支持細胞を除去した. その後, ヒトODF(100ng/ml)+/-, あるいはODF存在下でeel CT(10-8M)+...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 419
Main Authors 坂井詠子, 坂井英昭, 小林泰浩, 宮本久嗣, 山本健二, 加藤有三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:我々は, 破骨細胞にラテックスビーズを取り込ませて形成させたファゴソームは, その成熟過程の初期に一過的に骨吸収窩/刷子縁と類似した内容物/膜組成を持つことを昨年の本体会で発表した. 今回, 破骨細胞の骨吸収活性を修飾する分子であるカルシトニン(CT)と破骨細胞分化因子(ODF/RANKL)が, ファゴソームの成熟過程にどのように影響するか検討した. 【方法】コラーゲンゲル上で誘導, 形成したマウスの破骨細胞様細胞をブラスチックシャーレ上に播種し, 接着させた後に, 周囲の支持細胞を除去した. その後, ヒトODF(100ng/ml)+/-, あるいはODF存在下でeel CT(10-8M)+/-, という条件で1時間ビーズを取り込ませ, 同一条件で培養を続けたときの時間経過に伴うファゴソームの成熟過程を検討した. 【結果と考察】今回の実験条件では, ODFの有無によってビーズの取り込み量に著明な差は生じなかった. しかし, ODF存在下では, その後のカテプシンKの集積とそれに引き続くカテプシンDの集積が促進された. 一方, CT存在下では, その過程が抑制された. すなわち, 破骨細胞の骨吸収能を上げる(あるいは維持する)因子であるODFはファゴソームの成熟も促進し, その反対に骨吸収能を下げるCTはファゴソームの成熟を抑制することが明らかとなった. (本研究は, 順天堂大, 木南英紀博士と福山大, 辻博士との共同研究で行われた)
ISSN:0385-0137