ヒト唾液由来腸球菌におけるバンコマイシン耐性株の検索と薬剤感受性

【目的】MRSA感染症にバンコマイシン(VM)が投与されるに従い, VM耐性腸球菌(VRE)が医科の材料から分離されているが, 口腔では検索されていない. 本研究では唾液中におけるVREの検索と分離腸球菌の抗菌薬感受性を調べた. 【方法】20~77才の男女70名から唾液を採取し, 希釈後, 腸球菌分離用ECS寒天培地(ECS, 極東製薬)とVRE検出用のVRES寒天培地(VRES, VM6μg/ml添加, 極東製薬)にそれぞれ塗抹した. 周辺が黒変した集落(エスクリン分解株)を簡易同定した. 薬剤感受性はECSで分離した48株と15種抗菌薬を用いて寒天平板希釈法(Muller-Hinton寒天...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 428
Main Authors 尾上孝利, 村田雄一, 松本和浩, 山口智子, 白数力也, 福島久典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:【目的】MRSA感染症にバンコマイシン(VM)が投与されるに従い, VM耐性腸球菌(VRE)が医科の材料から分離されているが, 口腔では検索されていない. 本研究では唾液中におけるVREの検索と分離腸球菌の抗菌薬感受性を調べた. 【方法】20~77才の男女70名から唾液を採取し, 希釈後, 腸球菌分離用ECS寒天培地(ECS, 極東製薬)とVRE検出用のVRES寒天培地(VRES, VM6μg/ml添加, 極東製薬)にそれぞれ塗抹した. 周辺が黒変した集落(エスクリン分解株)を簡易同定した. 薬剤感受性はECSで分離した48株と15種抗菌薬を用いて寒天平板希釈法(Muller-Hinton寒天培地, 106CFU/ml接種)で測定した. 【結果と考察】総被験者に対する腸球菌の検出割合は, ECSでは39%, VRESでは0%であった. 供試β-ラクタム薬(piperacillin, cefaclor, cefazolin, cefmenoxim, cefmetazole, cefteram, latamoxef, aztreonam)に耐性を示す菌株が1株分離されたが, imipenemには感受性であった. VMのMICはすべて0.5μg/ml以下であった. これら以外の抗菌薬(ofloxacin, minocycline, erythromycin, clindamycin, gentamicin)では, erythromycinとminoyclineで2~3株の耐性株がみられた. 以上のことから, 口腔領域ではVREは現在のところ検出されず, 分離された腸球菌は供試抗菌薬に高い感受性を示すものと推定される.
ISSN:0385-0137