PTCDによる胆道出血の止血処置後に生じた肝膿瘍破裂の1例

症例は62歳女性.膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術後,術前から留置していた経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD) tube周囲からの少出血を認めていた, 22POD, tube抜去直後大出血を認め,太径カテーテルを用いた圧迫により,一応の止血は得たものの,少出血は持続した.門脈性か動脈性かの判断に難渋したが,拍動性出血ではないことから, 44POD門脈造影および塞栓術を施行した.しかし, 59POD再出血し,ガス分析にて動脈性出血と判明,同カテーテルからの造影にてA2, 3, 4分岐部とPTCD瘻孔の交通が確認され,緊急塞栓術を施行し完全止血を得た.しかし,肝膿瘍穿破による腹膜炎を併発し, 64...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 8; pp. 2173 - 2177
Main Authors 横尾, 直樹, 木元, 道雄, 田中, 善宏, 濱洲, 晋哉, 白子, 隆志, 吉田, 隆浩
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2173

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Summary:症例は62歳女性.膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術後,術前から留置していた経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD) tube周囲からの少出血を認めていた, 22POD, tube抜去直後大出血を認め,太径カテーテルを用いた圧迫により,一応の止血は得たものの,少出血は持続した.門脈性か動脈性かの判断に難渋したが,拍動性出血ではないことから, 44POD門脈造影および塞栓術を施行した.しかし, 59POD再出血し,ガス分析にて動脈性出血と判明,同カテーテルからの造影にてA2, 3, 4分岐部とPTCD瘻孔の交通が確認され,緊急塞栓術を施行し完全止血を得た.しかし,肝膿瘍穿破による腹膜炎を併発し, 64POD肝壊死組織除去術,腹腔内洗浄ドレナージ術を余儀なくされた.術後集学的治療が奏効し, 154POD退院となった.結語: PTCD後胆道出血の原因特定に,血液ガス分析は簡便で有用と考えられた.塞栓術施行後は,肝膿瘍の発生や,時に膿漏出による腹膜炎をきたしうることに,注意する必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2173