下顎骨形成初期における骨形成細胞の性格

下顎骨は一般に膜内骨化の様式で形成される代表的な骨であるが, その形成過程において時として歯槽部にchondroid boneの出現することが古くから知られている. しかし, その性状は未だ明らかにされていない. そこで, マウス下顎骨の形成期に出現する骨形成細胞ならびにその基質の性格について検討した. 胎生14目から生後7日まで経時的に採取したマウス下顎骨を, 通法に従いパラフィン切片とした病理組織学的, 組織化学的に検索した後に, 免疫組織化学的に骨に特徴的な基質タンパクと軟骨特有の基質タンパクの局在を検索した. さらに, それらの遺伝子発現をISH法によって検討した. 胎生15日より,...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 339
Main Authors 木村晃大, 川上敏行, 長谷川博雅, 辻極秀次, 長塚仁, 永井教之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:下顎骨は一般に膜内骨化の様式で形成される代表的な骨であるが, その形成過程において時として歯槽部にchondroid boneの出現することが古くから知られている. しかし, その性状は未だ明らかにされていない. そこで, マウス下顎骨の形成期に出現する骨形成細胞ならびにその基質の性格について検討した. 胎生14目から生後7日まで経時的に採取したマウス下顎骨を, 通法に従いパラフィン切片とした病理組織学的, 組織化学的に検索した後に, 免疫組織化学的に骨に特徴的な基質タンパクと軟骨特有の基質タンパクの局在を検索した. さらに, それらの遺伝子発現をISH法によって検討した. 胎生15日より, 未熟な骨梁の形成が開始された. 免疫組織化学的には, 一部の骨形成細胞および骨基質内の封入細胞に骨に特徴的なタンパクと軟骨に特徴的なタンパクの局在ならびにその遺伝子の発現が同時期にみられた. また, 生後2日では多くの場合において歯槽部の骨梁内に肥大軟骨細胞様細胞ならびにその基質形成があり, いわゆるchondroid boneの出現があった. この部においても, 骨と軟骨に特徴的な両タンパクならびにその遺伝子の発現が同時に確認された. 以上, 下顎骨形成過程初期における骨形成細胞の一部において, 骨細胞と軟骨細胞の特徴を併せ持つ細胞の出現することが明らかとなった.
ISSN:0385-0137