高齢者の姿勢変化が日常生活動作に及ぼす影響について
高齢者の矢状面の脊柱変形の分類別に, 日常生活動作への影響を検討した. 65歳以上の地域高齢者67名(平均74.7歳)を対象とした. 側面の写真を撮影し, 仲田による老人姿勢の分類により正常・伸展型・S字型・屈曲型・手膝上型の5群に分類し, 腰痛の有無とBarthel Indexと老研式活動能力指標と10m最大歩行速度・重複歩距離‘歩行率, 床反力計による両足圧中心移動距離と前後・左右随意的重心移動距離を調査し比較検討した. 屈曲型・手膝上型は高齢者に多く, 高齢になると伸展型から屈曲型・手膝上型へ移行してくる可能性が示された. 腰痛は伸展型では少なく屈曲型・手膝上型で多かった. Barthe...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 1060 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
1998
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 高齢者の矢状面の脊柱変形の分類別に, 日常生活動作への影響を検討した. 65歳以上の地域高齢者67名(平均74.7歳)を対象とした. 側面の写真を撮影し, 仲田による老人姿勢の分類により正常・伸展型・S字型・屈曲型・手膝上型の5群に分類し, 腰痛の有無とBarthel Indexと老研式活動能力指標と10m最大歩行速度・重複歩距離‘歩行率, 床反力計による両足圧中心移動距離と前後・左右随意的重心移動距離を調査し比較検討した. 屈曲型・手膝上型は高齢者に多く, 高齢になると伸展型から屈曲型・手膝上型へ移行してくる可能性が示された. 腰痛は伸展型では少なく屈曲型・手膝上型で多かった. Barthel Indexに群間で差はなく, 老研式活動能力指標は手膝上型で他の4群より得点が少なかった. 10m最大歩行速度は手膝上型は伸展型と比較して遅く, 重複歩距離は手膝上型では正常姿勢や伸展型と比べて小さかった. バランス能力は前後方向重心移動距離が手膝上型で少ない傾向を示した(p=0.052). 手膝上型では前後方向への重心移動がしにくいため歩幅が減少し, そのために歩行速度が遅くなり, 手段的ADLや知的能動性や社会的役割を行う能力が落ちてくると推論した. 姿勢と年齢との間に強い相関があるため, 日常生活動作遂行能力や歩行能力やバランス能力が, 年齢と関係する他の因子(痴呆・筋力低下・関節痛など)の影響を受けている可能性も考えられた. |
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ISSN: | 0034-351X |