膵頭十二指腸切除術後,膵胃吻合部狭窄の切除・再吻合を施行した1例

症例は60歳,女性で, 2000年1月27日に十二指腸乳頭部癌に対して,膵頭十二指腸切除術(以下PD),膵胃吻合再建術を施行した.同年9月頃より腹痛,背部痛,糖尿病の悪化をきたして9月27日入院となった.腹部CT検査にて残存膵の萎縮と膵管拡張,胃内視鏡検査で膵吻合部の潰瘍を認め,膵管口は確認できなかった.これらより膵胃吻合部膵管口狭窄と診断し, 10月24日吻合部切除,再吻合術を施行した.本症例は,膵断端の胃内挿入法で再建されており,術後に吻合部の胃粘膜再生が不良で,同部の潰瘍形成が持続していた.このため慢性炎症が持続し,膵管口狭窄をきたしたものと考えられ,膵胃吻合部狭窄の主要な原因の一つでは...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 9; pp. 2284 - 2288
Main Authors 江原, 和男, 平井, 俊一, 井貝, 仁, 北村, 泰博
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.2284

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Summary:症例は60歳,女性で, 2000年1月27日に十二指腸乳頭部癌に対して,膵頭十二指腸切除術(以下PD),膵胃吻合再建術を施行した.同年9月頃より腹痛,背部痛,糖尿病の悪化をきたして9月27日入院となった.腹部CT検査にて残存膵の萎縮と膵管拡張,胃内視鏡検査で膵吻合部の潰瘍を認め,膵管口は確認できなかった.これらより膵胃吻合部膵管口狭窄と診断し, 10月24日吻合部切除,再吻合術を施行した.本症例は,膵断端の胃内挿入法で再建されており,術後に吻合部の胃粘膜再生が不良で,同部の潰瘍形成が持続していた.このため慢性炎症が持続し,膵管口狭窄をきたしたものと考えられ,膵胃吻合部狭窄の主要な原因の一つではないかと思われた.本症例では,再手術時に膵管胃粘膜縫合を加えた再建を行っており,術後早期に胃粘膜の再生と症状の軽快を認めた.膵胃吻合時には,可能な限り膵管胃粘膜縫合を加えるべきであると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2284