(P06)ハンセン病性ニューロパチーの1例
患者:36歳, 男. (ミャンマー出身. H15年4月来日) 主訴:左手のしびれと左上腕の疼痛. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:31歳時リウマチ熱. 職業:コンピューター関係(於ミャンマー), ラーメン調理師(於日本). 現病歴:平成15年1月初めより左5指にしびれが出現し次に, 左4指に拡がった. さらに左上腕に疼痛が出現した. 同3月, ミャンマーの神経専門医を受診するが筋肉痛といわれた. 同6月, 日本の某整形外科受診. 7月, 神経腫瘍の疑いで左上腕尺骨神経肥厚部より生検施行. 病理組織像にてハンセン病が疑われた為, 帝京大学内科を経て当園へ紹介となった. 現症:左上腕肘部尺骨...
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Published in | 日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 73; no. 2; p. 134 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハンセン病学会
28.03.2004
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ISSN | 1342-3681 |
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Summary: | 患者:36歳, 男. (ミャンマー出身. H15年4月来日) 主訴:左手のしびれと左上腕の疼痛. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:31歳時リウマチ熱. 職業:コンピューター関係(於ミャンマー), ラーメン調理師(於日本). 現病歴:平成15年1月初めより左5指にしびれが出現し次に, 左4指に拡がった. さらに左上腕に疼痛が出現した. 同3月, ミャンマーの神経専門医を受診するが筋肉痛といわれた. 同6月, 日本の某整形外科受診. 7月, 神経腫瘍の疑いで左上腕尺骨神経肥厚部より生検施行. 病理組織像にてハンセン病が疑われた為, 帝京大学内科を経て当園へ紹介となった. 現症:左上腕肘部尺骨神経に一致して大きな線状瘢痕を認め, 同部に尺骨神経の肥厚(+). 左小指球の軽度の萎縮あり. 尺側骨間筋の筋力低下(+). 両3指の著明な動きの低下. 両側Tinel徴候(+). 左第5指徴候(+). 左4,5指, 手掌両尺側の痛覚脱失. 左前腕尺側末梢1/2の温痛覚低下. 手指と足首の振動覚軽度低下. 左第一背側骨間筋の軽度萎縮. 全身の観察にて皮疹を認めなかった. 検査所見:TTT4,8(0-4), GOT38(9-31), GPT64(4-34), CRP0,IgA99(110-410), 抗PGL-1抗体 陰性. 以外著変なし. 神経伝導検査:左尺骨神経で伝導ブロックの所見を認め, 尺骨神経の脱髄性病変が疑われた. また同感覚神経の活動電位は検出不能であった. その他の左正中神経, 左橈骨神経, 左総腓骨神経, 左腓腹神経の伝導検査は正常であった. 神経生検所見:神経束が肉芽腫性の炎症により分断される像が認められ, 肉芽腫は大食細胞を囲んでリンパ球, 単球, 形質細胞の浸潤よりなり, 浮腫も認められた. Fite染色にて陽性に染まる顆粒が大食細胞胞体に認められ, これらはPGL染色で陽性であった. PCR検査:パラフィン包埋切片によるPCRにて, らい菌特異的DNAが検出された. 菌スメア検査は6ヶ所全て陰性であった. 以上よりハンセン病性左尺骨神経炎と診断. 病型はB群の中のBTに近いものと考えられた. 治療及び経過:H15年10月よりRFP600mg/月, DDS100mg/日, クロファジミン50mg/日の内服を開始. 2ヶ月の時点で, らい反応の出現はないが神経学的所見は不変である. WHO分類のPBと思われるが, 多菌型に準じた3剤を6ヶ月間内服する予定である. |
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ISSN: | 1342-3681 |