癌化学療法プロトコル登録及び外来化学療法について TQM活動を通じて
〈はじめに〉当院ではTQM活動を院内全体の取り組みとしている。TQMとは「全体で医療、サービスの質を継続的に向上させること」を意味し、その手法を身につけることにより、改善を進める体質作り、サービス向上を含めた質を向上させることが目的である。今回薬剤科として「抗癌剤プロトコル登録」のテーマを選択し活動を行った。その取り組んだ内容、及び当院における外来化学療法の現状及び今後の課題等についてまとめた。 (現状把握)薬剤科での抗癌剤調製はH14年11月より抗癌剤個人セット払い出しを開始。H16年2月より外科外来で行うインフューザーやシリンジ充填を除く抗癌剤調製を開始。H16年6月よりインフューザーやシ...
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Published in | 日本農村医学会学術総会抄録集 p. 95 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2007
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.56.0.95.0 |
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Summary: | 〈はじめに〉当院ではTQM活動を院内全体の取り組みとしている。TQMとは「全体で医療、サービスの質を継続的に向上させること」を意味し、その手法を身につけることにより、改善を進める体質作り、サービス向上を含めた質を向上させることが目的である。今回薬剤科として「抗癌剤プロトコル登録」のテーマを選択し活動を行った。その取り組んだ内容、及び当院における外来化学療法の現状及び今後の課題等についてまとめた。 (現状把握)薬剤科での抗癌剤調製はH14年11月より抗癌剤個人セット払い出しを開始。H16年2月より外科外来で行うインフューザーやシリンジ充填を除く抗癌剤調製を開始。H16年6月よりインフューザーやシリンジ充填を除く入院も含む全科での調製開始。H17年1月より外科外来のみインフューザーやシリンジ充填を含めた全症例の調製開始。H17年11月から入院外来の全症例調製開始と順次対応の拡大を行い、現在に至る。開始当時プロトコルの登録は行わず、薬剤個々の添付文書で処方内容の確認を行っていた。また化学療法注射箋も身長体重の記載欄は無く、体表面積も1.5m2で計算し、薬剤投与量の監査を行うなどの状況であった。その後プロトコル登録を行うも9療法の登録のみであった。 (原因究明)プロトコル登録未実施に対し、各診療部長に対しアンケート調査を実施した。結果登録の必要性は理解しているが、多忙の為登録に取り組めていない。またすべての療法を把握している訳ではないことが判明した。 (改善策の検討)問題解決に向けた重要要因、その具体的対策を考え、効果性、実現性、定着性、重要性を点数化した結果、現在実施されているプロトコルの明示、プロトコル登録用紙の変更、関連委員会の設立を行うこととなった。 (改善策の実施)化学療法数調査時は32療法が存在しており、該当診療科部長へすべて明示し、結果39療法の登録が実施された。プロトコル登録用紙は、ほぼ自由記載であった書式を、必要記入事項を明確にした書式に変更した。また関連委員会として化学療法委員会を設立した。院内で協議する場を明確にし、化学療法マニュアルを作成、化学療法注射箋の変更、院内周知を行った。その他薬剤科の取り組みとして、用法用量の一覧リストの作成、及び併用禁忌・副作用の一覧リストの作成、各々のファイリング、登録プロトコルのエビデンス収集、PCにて抗癌剤投与に関する患者及び投薬管理が出来るデータベースの構築を行い、投与スケジュール管理が行える体制を整備した。 (外来化学療法)現在化学療法は院内全体で63療法の登録があり、毎日平均外来4.6名、入院1.2名の患者に対し調製、投与を行っている。調製は実施連絡後に行い、調製終了後外来に連絡し、薬剤の搬送を行っている。 (課題)新規プロトコル管理、内服抗癌剤の投与管理、内服注射併用時の投与管理、化学療法の処方監査の充実、最新治療法の情報収集・分析・提供・保存、全化学療法に対して薬剤管理指導の実施、H21年化学療法室設立時、薬剤師が1名出向となる。それに向けた癌専門薬剤師の育成等が課題と考える。 (結語)TQM活動を通じ化学療法に関し、抗癌剤プロトコルの整備、化学療法委員会の設立、薬剤科での抗癌剤全症例無菌調製、患者データベースの構築、など多くの課題に着手し成果を残すことが出来た。今後もTQMの手法を活用し、多様な業務に対し積極的に取り組みたい。 |
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Bibliography: | 1E22 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.56.0.95.0 |