離島での地域医療研修体験 初期臨床研修における県内厚生連病院間での補完の取り組み

初期臨床研修制度も6年目になるが,都市部の病院に研 修医が集中していることが地域医療の医師不足の原因の一 つであるとの見方がある。 都市・急性期型である海南病院においては,地域・保健 医療研修では訪問診療,訪問看護を中心の研修で,実際に へき地・離島医療を経験することが困難である。今年度か ら医師が不足している知多厚生病院篠島診療所で関連施設 として協力頂き,離島医療を経験した。そこでの診療状況 と,健康増進のための講演会を行ったこと報告する。 篠島は愛知県の知多半島の先端にある師崎港から海上4 km に位置し,周囲6km,人口約2,000人で,漁業と観光 業を中心としている。 島内唯一の医療...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 45
Main Authors 河野, 真人, 高橋, 佳嗣, 宮本, 忠壽, 浅井, 俊亘, 稲石, 貴弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2009
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.58.0.45.0

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Summary:初期臨床研修制度も6年目になるが,都市部の病院に研 修医が集中していることが地域医療の医師不足の原因の一 つであるとの見方がある。 都市・急性期型である海南病院においては,地域・保健 医療研修では訪問診療,訪問看護を中心の研修で,実際に へき地・離島医療を経験することが困難である。今年度か ら医師が不足している知多厚生病院篠島診療所で関連施設 として協力頂き,離島医療を経験した。そこでの診療状況 と,健康増進のための講演会を行ったこと報告する。 篠島は愛知県の知多半島の先端にある師崎港から海上4 km に位置し,周囲6km,人口約2,000人で,漁業と観光 業を中心としている。 島内唯一の医療機関である診療所では1週間の研修を行 い,外来および訪問診療と,島民を対象に健康増進のため の講演会をした。 診療所を受診する患者層としては高齢者が中心で,主な 疾患としては高血圧症,高脂血症,糖尿病といった慢性疾 患があげられる。診療所においては,知多厚生病院の指導 医のもとで診療にあたる。限られた資源のなかで診療を行 うので,問診・身体診察から得られた情報・所見で判断す ることの重要性や難しさを感じた。 診療以外に,地域医療への果たす役割として,健康増進 のための講演会を診療所で行った。1週間,診療にあたっ たなかで,最も多かった疾患は高血圧症であった。初回は これをテーマとし,定義,合併症,食生活の改善などにつ いて説明し,20人程の島民の方に聞いていただいた。 1週間という短い間ではあったが,医師の不足している 状況や,限られた資源の中での診療,地域と密着した医療 を通して,地域医療に対して果たすべき医師個人としての 役割や病院としての役割について改めて考えさせられた。 また愛知県厚生連は都市型から農村型,急性期型から慢性 期型の多様な病院があり,病院が連携,協力することでよ り充実した研修や診療ができる可能性を感じた。
Bibliography:R-01
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.58.0.45.0