肺病巣に対する経皮穿刺で非結核性抗酸菌(NTM)を検出した症例の検討 経皮穿刺検体の培養陽性を肺NTM症診断基準に加えることの提言

〔目的〕経皮穿刺(以下,穿刺)による非結核性抗酸菌(NTM)の検出は肺NTM症の診断基準を満たさない。しかし一般に穿刺は感染症の原因菌検索のうえで確実な方法である。穿刺検体培養陽性が肺NTM症の診断基準に加えられた場合の有益性について検討する。〔方法〕穿刺検体の培養でNTMが検出された症例の画像,臨床経過を検討した。なお穿刺で得た検体は生食浮遊液とし,抗酸菌・一般細菌検査,細胞診に供し,空洞性病巣の場合は空洞内に生食を注入した後回収する方法で検体を得た。〔結果〕2,742症例に穿刺を行い51例にNTMを検出した。うち12例は孤立結節影を示し,喀痰,気管支鏡で菌を検出できなかった例が多い。M.a...

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Published in結核 Vol. 88; no. 3; pp. 283 - 289
Main Authors 河村, 哲治, 水守, 康之, 渡部, 悦子, 中原, 保治, 望月, 吉郎, 塚本, 宏壮, 佐々木, 信, 守本, 明枝, 横山, 俊秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 2013
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku.88.283

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Summary:〔目的〕経皮穿刺(以下,穿刺)による非結核性抗酸菌(NTM)の検出は肺NTM症の診断基準を満たさない。しかし一般に穿刺は感染症の原因菌検索のうえで確実な方法である。穿刺検体培養陽性が肺NTM症の診断基準に加えられた場合の有益性について検討する。〔方法〕穿刺検体の培養でNTMが検出された症例の画像,臨床経過を検討した。なお穿刺で得た検体は生食浮遊液とし,抗酸菌・一般細菌検査,細胞診に供し,空洞性病巣の場合は空洞内に生食を注入した後回収する方法で検体を得た。〔結果〕2,742症例に穿刺を行い51例にNTMを検出した。うち12例は孤立結節影を示し,喀痰,気管支鏡で菌を検出できなかった例が多い。M.aviumが同定された孤立結節症例のうち3例に自然縮小を認めた。孤立小空洞(7例)の穿刺ではやや多量のNTMを検出した。穿刺による合併症は気胸のみであった。〔考察〕穿刺で肺NTM症の診断が可能であるなら,外科的に診断されることの多い孤立結節型NTM症の内科的診断が容易となり,さらに自然縮小の可能性など臨床研究にも資する。また孤立小空洞影についても,肺膿瘍,真菌感染などとの鑑別を含めた確実な診断が行える。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.88.283