非正規雇用看護職のキャリアの特徴 キャリア志向とキャリア成熟度、キャリア意識、 職務キャリアとの関連

【目的】非正規雇用看護職に対し、キャリア志向としての8 つのキャリアアンカーから特徴ある群(クラスター)に分類をし、各群のキャリア成熟度、キャリア意識、職務キャリアの相違を明らかにすることを目的とした。本研究の意義は、非正規雇用看護職のキャリアの特徴に応じた雇用対策のための基礎資料とすることができる点である。【方法】非正規雇用看護職251名を対象として、自記式質問紙調査による横断調査をおこなった。基本属性と各変数に関して記述統計を算出し、キャリア志向については非階層クラスター分析を行った。キャリア志向と各変数の関係は、一元配置分散分析で差の検討を行い、さらにクラスター間の関係をみるため多重分析...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in東京都看護協会学術誌 Vol. 3; pp. 17 - 25
Main Authors 荒木田 美香子, 笹山 名月
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 東京都看護協会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2760-0785
2760-0793
DOI10.51103/tnajournal.3.0_17

Cover

More Information
Summary:【目的】非正規雇用看護職に対し、キャリア志向としての8 つのキャリアアンカーから特徴ある群(クラスター)に分類をし、各群のキャリア成熟度、キャリア意識、職務キャリアの相違を明らかにすることを目的とした。本研究の意義は、非正規雇用看護職のキャリアの特徴に応じた雇用対策のための基礎資料とすることができる点である。【方法】非正規雇用看護職251名を対象として、自記式質問紙調査による横断調査をおこなった。基本属性と各変数に関して記述統計を算出し、キャリア志向については非階層クラスター分析を行った。キャリア志向と各変数の関係は、一元配置分散分析で差の検討を行い、さらにクラスター間の関係をみるため多重分析を行った。【結果】8つのキャリア志向の特徴から、4つのクラスターに分類された。クラスター1は3つのキャリア尺度の得点が高く、看護のジェネラリストを目指して働きながら安定を重視する志向の群であった。クラスター2は3つのキャリア尺度がどのクラスターと比較しても有意に低く、ワークライフバランス志向を重視する群であった。クラスター3は看護のスペシャリストを目指して働きながら、独立開業を目指し安定はさほど重視しない志向の群であった。クラスター4はキャリアの特徴が明確にはならなかった。【考察】クラスター1と3は職務キャリア、キャリア成熟度の得点が高いことからも、看護実践力が伴っている群として業務範囲の選択の幅を広げジェネラリストやスペシャリストとして働くことが出来る可能性が示唆された。どのクラスターにも雇用の形態によって教育の機会が制限されない制度を整備していく必要があると考えた。【結論】キャリア志向やキャリアの特徴によって非正規雇用看護職にも業務範囲の拡大の選択肢を増やすことや、教育の機会を提供できる環境の整備が必要である。キャリアの特徴に応じた雇用対策をとることで多様な働き方の可能性が示唆された。
ISSN:2760-0785
2760-0793
DOI:10.51103/tnajournal.3.0_17