日本における結核菌薬剤感受性試験外部精度評価の評価基準に関する解析
「要旨」 : 〔目的〕抗結核薬薬剤感受性試験の外部精度評価結果を解析し, 適切な評価基準を定めることを目的とした. 〔方法〕日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会が2004年から2010年までに実施した7回の薬剤感受性試験外部精度評価について検討した. 各年度の参加施設ごとの薬剤感受性試験結果を標準判定と比較し, 年度あるいは検査室ごとに感度, 特異度, 一致率およびκ指数を算出した. 〔結果〕2004~2010年に耐性既知の結核菌を延べ564施設に送付し, isoniazid (INH) , rifampicin (RFP) , streptomycin (SM) およびethambutol...
Saved in:
| Published in | 結核 Vol. 90; no. 4; pp. 481 - 490 |
|---|---|
| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本結核病学会
15.04.2015
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0022-9776 |
Cover
| Summary: | 「要旨」 : 〔目的〕抗結核薬薬剤感受性試験の外部精度評価結果を解析し, 適切な評価基準を定めることを目的とした. 〔方法〕日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会が2004年から2010年までに実施した7回の薬剤感受性試験外部精度評価について検討した. 各年度の参加施設ごとの薬剤感受性試験結果を標準判定と比較し, 年度あるいは検査室ごとに感度, 特異度, 一致率およびκ指数を算出した. 〔結果〕2004~2010年に耐性既知の結核菌を延べ564施設に送付し, isoniazid (INH) , rifampicin (RFP) , streptomycin (SM) およびethambutol (EB) について計25,100試験分の回答を得た. 全体として特異度>感度の傾向が明らかであり, RFPについて7年間で感度の有意な上昇が観察された. 連続参加した16施設で7年間に実施した計85試験の感度はINH, RFP, SMおよびEBについて各々0.999 (95% CI 0.992-1.000) , 0.985 (95% CI 0.973-0.992) , 0.932 (95% CI 0.912-0.948) および0.965 (95% CI 0.947-0.977) であった. 同様に特異度は各々0.998 (95% CI 0.991-1.000) , 0.997 (95% CI 0.989-0.999) , 0.977 (95% CI 0.962-0.986) および0.978 (95% CI 0.966-0.986) であった. 〔考察〕検討期間を通じて, INHとRFPの検査精度は高く維持されていた. しかし特にSMで精度のばらつきが大きく, 結果を評価するうえで配慮を必要とした. 実践上, 現時点での検体数は10株が適当であり, 精度評価基準としてINHとRFPについては感度・特異度ともに95%以上, SMとEBに対する一致率90%以上を満たすことが必要と考えられた. |
|---|---|
| ISSN: | 0022-9776 |