結核病床を有さない愛知県西部の基幹病院における結核診療の現状

要旨 : [背景]近年, 結核病床数の減少や合併症をもつ高齢者結核の増加から, 結核診療における地域の基幹病院の重要性が増している. [目的]結核病床を有さない総合病院における結核診療の現状を把握し, 今後の課題について検討する. [方法]2008年4月から2015年3月に, 当院において結核菌が培養陽性となった患者を後方視的に検討した. [結果]活動性結核は146例で, 男/女 : 83/63例, 年齢中央値 : 76歳(18~94歳), 肺結核129例 (胸膜炎合併23例), 肺外結核のみの症例は17例であった. 主症状は, 咳・痰40例, 発熱24例が多く, 無症状受診は36例であった....

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Published in結核 Vol. 91; no. 5; pp. 489 - 494
Main Authors 中尾心人, 村松秀樹, 曽根一輝, 鈴木悠斗, 香川友祐, 黒川良太, 青木佐知子, 大川浩永, 佐藤英文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.05.2016
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ISSN0022-9776

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Summary:要旨 : [背景]近年, 結核病床数の減少や合併症をもつ高齢者結核の増加から, 結核診療における地域の基幹病院の重要性が増している. [目的]結核病床を有さない総合病院における結核診療の現状を把握し, 今後の課題について検討する. [方法]2008年4月から2015年3月に, 当院において結核菌が培養陽性となった患者を後方視的に検討した. [結果]活動性結核は146例で, 男/女 : 83/63例, 年齢中央値 : 76歳(18~94歳), 肺結核129例 (胸膜炎合併23例), 肺外結核のみの症例は17例であった. 主症状は, 咳・痰40例, 発熱24例が多く, 無症状受診は36例であった. 基礎疾患としては, 糖尿病, 慢性腎臓病, 悪性腫瘍が多かった. 受診から治療開始まで1カ月以上を要したのは33例, 薬剤耐性を認めたのは14例, 塗抹陽性肺結核が57例, 指定医療機関へ転院となったのは66例であった. 抗結核薬の調整を要する副作用は27例で認めた. [結語]当院における結核診療の現状を明らかにすることができた. 結核症のさらなる啓発と診療体制の改善が必要と考えられた.
ISSN:0022-9776