中高年期野球競技者における運動器の疼痛発生部位と疾患有病率
〔要旨〕 【目的】中高年期野球競技者における運動器の疼痛発生状況と疾患有病率をアンケート調査にて明らかにすること. 【対象・方法】某県還暦軟式野球連盟1~3部に所属する男性競技者972名に対しオンラインを用いたアンケート調査を依頼し, 回答を得た241名を対象とした(平均年齢68.0±5.7歳, 有効回答率24.8%). 質問内容は, 過去2年間に野球競技に起因し2週間以上競技を中断した運動器の疼痛の有無と疼痛部位, 回答時における運動器の疼痛の有無と疼痛部位, 回答時に運動器以外に罹患している疾患等とした. 【結果】過去2年間に運動器の疼痛を経験した者は91名(37.8%)であり, 疼痛部位...
Saved in:
Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 2; pp. 508 - 515 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
30.04.2022
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-4159 |
Cover
Summary: | 〔要旨〕 【目的】中高年期野球競技者における運動器の疼痛発生状況と疾患有病率をアンケート調査にて明らかにすること. 【対象・方法】某県還暦軟式野球連盟1~3部に所属する男性競技者972名に対しオンラインを用いたアンケート調査を依頼し, 回答を得た241名を対象とした(平均年齢68.0±5.7歳, 有効回答率24.8%). 質問内容は, 過去2年間に野球競技に起因し2週間以上競技を中断した運動器の疼痛の有無と疼痛部位, 回答時における運動器の疼痛の有無と疼痛部位, 回答時に運動器以外に罹患している疾患等とした. 【結果】過去2年間に運動器の疼痛を経験した者は91名(37.8%)であり, 疼痛部位は肩関節21.9%, 腰部19.0%, 膝関節16.0%, 肘関節8.0%であった. 回答時に疼痛を有する者は181名(75.1%)であり, 疼痛部位は肩関節22.7%, 膝関節19.6%, 腰部18.8%, 肘関節7.3%であった. 回答時に疾患を有する者は141名(58.5%)であり, 疾患の有病率は高血圧症32.4%, 心疾患12.0%, 糖尿病12.0%, 泌尿器疾患12.0%であった. 【結論】運動器の疼痛発生部位は, 肩関節, 腰部, 膝関節, 肘関節で多かった. 先行研究と比較すると運動器の疼痛や生活習慣病の有病率は同程度以下であり, 中高年期に野球競技を実施することは運動器の疼痛抑制や生活習慣病予防の一助となっている可能性が考えられた. |
---|---|
ISSN: | 1346-4159 |