特定機能病院における感染症対策 BCP (business continuity plan) 策定の意義と課題

「要旨」新興感染症の流行時に, 医療機関が求められる機能を長期にわたって発揮するためには, 感染症に対応し得る事業継続計画(business continuity plan;BCP)が必要である. 一方, 特定機能病院は重症患者の受け入れ以外にも果たすべき役割が多く, 感染症対策BCPにはさまざまな要素を盛り込む必要があり, 作成が比較的困難である. 信州大学医学部附属病院は地方に位置する典型的な特定機能病院であり, COVID-19の流行第1波の後, 感染症対策BCPを策定して全部署がそれぞれの行動計画に基づく事前対策を行い, 流行の第3波で実際に使用したところ, 事業継続において一定の効果...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 27; no. 4; pp. 504 - 514
Main Authors 今村浩, 松本剛, 城井三奈, 亀山明子, 服部理央, 高山浩史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床救急医学会 01.08.2024
Online AccessGet full text
ISSN1345-0581

Cover

More Information
Summary:「要旨」新興感染症の流行時に, 医療機関が求められる機能を長期にわたって発揮するためには, 感染症に対応し得る事業継続計画(business continuity plan;BCP)が必要である. 一方, 特定機能病院は重症患者の受け入れ以外にも果たすべき役割が多く, 感染症対策BCPにはさまざまな要素を盛り込む必要があり, 作成が比較的困難である. 信州大学医学部附属病院は地方に位置する典型的な特定機能病院であり, COVID-19の流行第1波の後, 感染症対策BCPを策定して全部署がそれぞれの行動計画に基づく事前対策を行い, 流行の第3波で実際に使用したところ, 事業継続において一定の効果がみられた. 新興感染症流行時に特定機能病院が地域において果たす役割は大きく, その事業継続の可否は医療提供体制に大きな影響を及ぼす. 特定機能病院にこそ優れた感染症対策BCPが必要と考えられる.
ISSN:1345-0581