炎症性根尖病変におけるCD1a標識ランゲルハンス細胞の免疫組織化学的検索-浸潤炎症細胞及び上皮細胞との関連

【目的】ランゲルハンス細胞(LC)の局在と密度をマラッセ上皮遺残と炎症性根尖病変で免疫組織化学的に検索し, 浸潤炎症細胞及び上皮細胞との関連を検討した. 【方法】マラッセ上皮遺残18, 歯根肉芽腫26, 上皮化肉芽腫8, 歯根嚢胞34, 残存性歯根嚢胞15例にて, 抗CDla抗体で上皮内, 肉芽層, 線維層のLC密度を検索, 抗CD3, 4, 8, 20, 68, κ, λ鎖抗体で炎症細胞を同定, 抗Ki-67, DNAtopoisomerase2α(Topo2)抗体で上皮の平均陽性細胞数を測定した. 【結果】CD1a標識細胞 マラッセ上皮遺残に無く, 根尖病変の上皮内, 肉芽層, 線維層の順...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 496
Main Authors 鈴木孝裕, 熊本裕行, 大家清, 茂木克俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】ランゲルハンス細胞(LC)の局在と密度をマラッセ上皮遺残と炎症性根尖病変で免疫組織化学的に検索し, 浸潤炎症細胞及び上皮細胞との関連を検討した. 【方法】マラッセ上皮遺残18, 歯根肉芽腫26, 上皮化肉芽腫8, 歯根嚢胞34, 残存性歯根嚢胞15例にて, 抗CDla抗体で上皮内, 肉芽層, 線維層のLC密度を検索, 抗CD3, 4, 8, 20, 68, κ, λ鎖抗体で炎症細胞を同定, 抗Ki-67, DNAtopoisomerase2α(Topo2)抗体で上皮の平均陽性細胞数を測定した. 【結果】CD1a標識細胞 マラッセ上皮遺残に無く, 根尖病変の上皮内, 肉芽層, 線維層の順で多く, 歯根嚢胞の上皮内, 歯根肉芽腫の肉芽層と線維層で密度大だった. 炎症細胞 CD3陽性T細胞はマクロファージ, 形質細胞, B細胞に比して多く, CD4と8陽性T細胞比は歯根肉芽腫でCD8, 歯根嚢胞でCD4が大だった. LC密度はCD3陽性T細胞の高度浸潤部で大だった. 上皮細胞 Ki-67, Topo2-LIは歯根嚢胞, 残存性歯根嚢胞, 上皮化肉芽腫とマラッセ上皮遺残の順で大だった. 【総括】LCは根尖病変を構成する部位での局在と密度に差を示し, 浸潤炎症細胞の主体であるCD3陽性T細胞との増減に相関があり, 根尖病変の差異はCD4と8陽性T細胞比に表れた. 根尖病変内LCの数と密度及び上皮増殖活性は根尖病変の病期で差があり, その進展に関与すると考えられた.
ISSN:0385-0137