超低出生体重児の両親の出生前訪問から退院までの体験に関する事例研究 - 父母の心理的変化の違いを中心に

「要旨」「背景」 : NICUに入院する児の両親への早期介入として「出生前訪問」は親の行動や心理に影響をもたらす可能性があるがその詳細は明らかになっていない. また, この分野の既存の文献は母親に焦点が当たっているものがほとんどであるため, 父親の心理的変化体験は明らかにされていない. 「目的」 : 両親それぞれが出生前訪問からNICU退院までに体験した事象を明らかにし, 親の心理的変化の違いを調べることを目的とした. 「方法」 : 出生前訪問を実施した1組の超低出生体重児の両親に半構造化面接とライフラインの描写を実施した. 分析は, 心理的変化について語られた部分を抽出し, それをカテゴリー...

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Published in家族看護学研究 Vol. 27; no. 2; pp. 142 - 151
Main Author 河村江里子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族看護学会 31.03.2022
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ISSN1341-8351

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Summary:「要旨」「背景」 : NICUに入院する児の両親への早期介入として「出生前訪問」は親の行動や心理に影響をもたらす可能性があるがその詳細は明らかになっていない. また, この分野の既存の文献は母親に焦点が当たっているものがほとんどであるため, 父親の心理的変化体験は明らかにされていない. 「目的」 : 両親それぞれが出生前訪問からNICU退院までに体験した事象を明らかにし, 親の心理的変化の違いを調べることを目的とした. 「方法」 : 出生前訪問を実施した1組の超低出生体重児の両親に半構造化面接とライフラインの描写を実施した. 分析は, 心理的変化について語られた部分を抽出し, それをカテゴリー化しそれらを父母間で比較した. 「結果」 : 両親は出生前訪問を受けた時, 突然の早期出産になる予想外の事態にショックを受けた. その後父親は, ステップを踏んで頑張っている児の姿を見たり感じたりしながら親子関係を実感し, 自らの役割認識を高めていた. 父親は医療者との信頼関係が重要であったことを語った. 一方母親は, 超低出生体重児を出産した現実を受容できず, その心境を "無の感情" と表現した. 母親は, 自由に児のケアができるようになった時に我が子としての実感を持てるようになった. 「結論」 : 児の出生前訪問から退院までの一連の経過を通して, この事例では父親と母親の心理は違うことがわかった. よって出生前から父親と母親それぞれの心理状態を理解し, それぞれに対して適切な看護支援が必要である.
ISSN:1341-8351