門脈腫瘍栓合併肝細胞癌に対する肝切除の適応と限界

肝細胞癌748例中, 画像診断で門脈二次分枝より中枢に腫瘍栓がみられた症例は150例 (20%) で, 肝切除は24例 (16%) に施行されていた. 生存期間を短縮する独立因子は1) 肝障害度Cまたは腹水 (+), 2) 腫瘍数4個以上, 3) 肝切除 (-), 4) TAE (-) であった. 肝障害度Cまたは腹水 (+) 53例では肝切除例はなく, 無治療が43%を占めており, 50%生存期間2.3カ月, 1年生存率6%と極めて予後不良であった. 肝障害度AまたはB, 腹水 (-) かつ腫瘍数3個以下では肝切除 (+) 17例中3年以上生存が6例みられ, 1年/3年/5年生存率77%/5...

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Published in肝臓 Vol. 44; no. 5; pp. 211 - 221
Main Authors 山崎, 修, 中井, 隆志, 松山, 光春, 堀井, 勝彦, 木岡, 清英, 玉森, 豊, 川崎, 靖子, 松尾, 良一, 清水, 貞利, 岡, 博子, 井上, 健, 村田, 佳津子, 真鍋, 隆夫, 上西, 崇弘, 倉井, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.05.2003
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.44.211

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Summary:肝細胞癌748例中, 画像診断で門脈二次分枝より中枢に腫瘍栓がみられた症例は150例 (20%) で, 肝切除は24例 (16%) に施行されていた. 生存期間を短縮する独立因子は1) 肝障害度Cまたは腹水 (+), 2) 腫瘍数4個以上, 3) 肝切除 (-), 4) TAE (-) であった. 肝障害度Cまたは腹水 (+) 53例では肝切除例はなく, 無治療が43%を占めており, 50%生存期間2.3カ月, 1年生存率6%と極めて予後不良であった. 肝障害度AまたはB, 腹水 (-) かつ腫瘍数3個以下では肝切除 (+) 17例中3年以上生存が6例みられ, 1年/3年/5年生存率77%/57%/48%はTAE (+) 15例の33%/20%/13%に較べて良好であった(p=0.0156). しかし, 腫瘍数4個以上では肝切除 (+) 7例中6例が1年以内に癌死しており, 1年生存率14%はTAE (+) 24例の21%に較べて差はなかった. また, 肝切除例では肝静脈腫瘍栓 (+) と単純結節型以外の肉眼形態を持つことが独立した予後不良因子であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.44.211