臨床現場における看護研究の実施にともなう看護師の体験

「要旨」 〈目的〉 臨床現場における看護研究活動にともなって看護師に生じる感情や認識等の体験を明らかにする. 〈方法〉 医療施設に所属する臨床看護研究を実施した経験のある看護師および看護研究の指導を行った経験のある看護師を対象とし, フォーカス・グループ・インタビューを実施した. インタビュー内容は, (1)過去または現在取り組んでいる研究テーマ, (2)研究の実施または指導で困難に感じたこと, (3)研究の実施または研究指導でうまくいったと感じたことであった. 得られた録音データは逐語録にし, その中から看護研究実施にともなう看護師の体験に関連する箇所を抽出した. 抽出したデータの意味内容を...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 21; pp. 11 - 21
Main Authors 中野宏恵, 井上知美, 東知宏, 池原弘展, 坂下玲子, 川崎優子, 岡田彩子, 山村文子, 森舞子, 太尾元美, 谷田恵子, 森本美智子, 内布敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2014
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ISSN1881-6592

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Summary:「要旨」 〈目的〉 臨床現場における看護研究活動にともなって看護師に生じる感情や認識等の体験を明らかにする. 〈方法〉 医療施設に所属する臨床看護研究を実施した経験のある看護師および看護研究の指導を行った経験のある看護師を対象とし, フォーカス・グループ・インタビューを実施した. インタビュー内容は, (1)過去または現在取り組んでいる研究テーマ, (2)研究の実施または指導で困難に感じたこと, (3)研究の実施または研究指導でうまくいったと感じたことであった. 得られた録音データは逐語録にし, その中から看護研究実施にともなう看護師の体験に関連する箇所を抽出した. 抽出したデータの意味内容を読み取り, 1つの意味内容が含まれる単位データを作成し, さらにカテゴリー化し分析を行った. 分析は複数の研究者が行い妥当性を高めた. 〈結果〉 臨床で看護研究を実施している3施設に所属する臨床看護研究実施者13名, 臨床看護研究指導者13名の協力が得られた. 得られたカテゴリーを【】で示す. 得られた単位データ(135)の分析を通して看護研究実施にともなう看護師の体験は, 【臨床看護研究は義務付けられている】【臨床看護研究はやりたくない】【臨床看護研究はできそうにない】【臨床看護研究によって成長する】【研究成果を実践に活用できた】【臨床看護研究を実施する能力や知識がない】【研究指導に対するプレッシャー(指)】【研究指導による精神的負担(指)】の8カテゴリーが見出された. 看護研究が看護師に義務付けられていることは看護師の負担感や不全感に関連していた. 一方で看護師は研究に対して意義も見出していた. 〈考察〉 研究が義務化されていることや研究のための知識や能力の不足などが影響して看護師が研究活動に伴って体験する負担感は大きくなっている. 臨床現場での研究活動には支援体制の整備が必要である.
ISSN:1881-6592