リファンピシンおよびエタンブトールにより急性汎発性発疹性膿疱症を発症した肺結核の1例

「要旨」: 症例は53歳女性. 既往に尋常性乾癬, 大腸癌がある. 肺結核 (学会分類bII2) で当科入院となった. イソニアジド (INH), リファンピシン (RFP), エタンブトール (EB), ピラジナミド (PZA) で治療を開始したが, 治療開始9日後に発熱, 全身の紅斑と膿疱が出現し, 血液検査でCRPの上昇を認めたため抗結核薬を中止した. 皮膚生検では好中球浸潤と角層下海綿状膿疱の所見であった. その後薬剤を順次投与し, 発熱と全身の紅斑, 膿疱の原因はRFPとEBの2剤と判明した. 上記皮疹が薬剤中止後1日で消退傾向を示したことから薬疹である急性汎発性発疹性膿疱症 (AG...

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Published in結核 Vol. 93; no. 1; pp. 41 - 46
Main Authors 渡邉裕文, 宍戸雄一郎, 鈴木貴人, 野口理絵, 三枝美香, 赤松泰介, 山本輝人, 森田悟, 朝田和博, 白井敏博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 01.01.2018
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は53歳女性. 既往に尋常性乾癬, 大腸癌がある. 肺結核 (学会分類bII2) で当科入院となった. イソニアジド (INH), リファンピシン (RFP), エタンブトール (EB), ピラジナミド (PZA) で治療を開始したが, 治療開始9日後に発熱, 全身の紅斑と膿疱が出現し, 血液検査でCRPの上昇を認めたため抗結核薬を中止した. 皮膚生検では好中球浸潤と角層下海綿状膿疱の所見であった. その後薬剤を順次投与し, 発熱と全身の紅斑, 膿疱の原因はRFPとEBの2剤と判明した. 上記皮疹が薬剤中止後1日で消退傾向を示したことから薬疹である急性汎発性発疹性膿疱症 (AGEP) と診断した. その後INHから再開し, PZA, レボフロキサシン (LVFX), ストレプトマイシン (SM) を順次追加したが皮疹の出現はみられなかった. 4剤での継続が可能と判断し, 塗抹の陰性を確認したため第108病日に自宅退院となった. 抗結核薬によるAGEPはINH, RFPでは既報告があるが, EBでの報告や抗結核薬2剤での報告はなく, 貴重な症例と考えた.
ISSN:0022-9776