がん症状マネジメントにおける患者のセルフケアレベル判定基準の検討

「要旨」【目的】がん症状マネジメントにおける患者のもつセルフケア能力のレベルを判定する基準を作成し, その表面妥当性および利用可能性を検討し, 精錬することである. 【方法】1) Oremのセルフケア看護理論, およびOrem-Underwood理論をもとにレベルI~IVの4段階からなるセルフケアレベル判定基準案を作成した. そして, がん看護で頻繁に遭遇するリンパ浮腫, 口腔粘膜炎, 排便障害, 皮膚障害の4つの症状に焦点を当て, 症状毎のセルフケアレベル判定基準案を作成した. 2)セルフケアレベル判定基準案の表面妥当性および利用可能性を問う自記式質問紙を作成し, がん看護のエキスパートに郵...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 24; pp. 139 - 150
Main Authors 中野宏恵, 内布敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2017
Online AccessGet full text
ISSN1881-6592

Cover

More Information
Summary:「要旨」【目的】がん症状マネジメントにおける患者のもつセルフケア能力のレベルを判定する基準を作成し, その表面妥当性および利用可能性を検討し, 精錬することである. 【方法】1) Oremのセルフケア看護理論, およびOrem-Underwood理論をもとにレベルI~IVの4段階からなるセルフケアレベル判定基準案を作成した. そして, がん看護で頻繁に遭遇するリンパ浮腫, 口腔粘膜炎, 排便障害, 皮膚障害の4つの症状に焦点を当て, 症状毎のセルフケアレベル判定基準案を作成した. 2)セルフケアレベル判定基準案の表面妥当性および利用可能性を問う自記式質問紙を作成し, がん看護のエキスパートに郵送した. 対象者は, がん症状マネジメントに精通するがん看護専門看護師37名と, がん看護専門看護師教育課程でOremのセルフケア看護理論を学習した看護師11名であった. 3)回答内容を複数の研究者で読み取り, 考察を踏まえて修正版を検討した. 4)倫理的配慮を行い, 所属機関の倫理委員会の承認を得て行った. 【結果】回答数は17名(35.4%)であった. 対象者の平均年齢は39.35歳(SD=5.97), 看護師経験年数は平均14.5年(SD=5.33)であった. 「判定の妥当性はある」「理解しやすい」「簡便で, 判定に時間を要さない」「患者の変化が分かりやすくなった」「具体例があるので判定しやすい」という意見が得られ, 判定の妥当性, 理解のしやすさ, 実用性において, 概ね表面妥当性を確保できたと言える. 一方で, 「セルフケア行為は全くできないが, 他者に依頼できる患者の判定に迷う」「レベルIIとIIIの区別が曖昧」「症状別に分ける必要はない」「家族のサポートの区別が必要」という意見があった. 修正版では, レベルの差が明確になるように具体例を提示し, 表現を強調させた. また家族サポートを含めた判定であることが区別できるように工夫した. 今後は研究や臨床に導入し, 事例の蓄積や精錬が必要である.
ISSN:1881-6592